チーム名変わっても歴史は消えない 伝説のサブマリンと盗塁王が明かす秘話

福本氏が振り返る世界記録達成の瞬間、「面白くなかったことはよう覚えている」

「やってもやってもたたかれる。何度挑戦してもたたかれるんですよ。勝った時は『よかった』と思うんですが、負けた時の悔しさはずっと続きます。この悔しさが、自分の野球のバックボーンになっている。阪急ブレーブスの選手は、みんなそうだったと思います。だから、最終的にああいうチームが出来上がり、3年連続日本一を達成できた。本当にいいチームでした」

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球団創設80周年の復刻イベントに登場した山田久志氏と福本豊氏【写真提供:オリックス・バファローズ】

 1983年6月、当時の盗塁世界記録を塗り替える939盗塁を記録し“世界の福本”の異名を持つ福本氏。これまでに一番記憶に残っている試合を聞いてみると「いやいや世界記録を達成したときだね」と、福本氏らしい答えが返ってきた。

「試合がぼろ負けだったんですよ。だから、939盗塁は翌日に取っておこうと思っていたんですけど、大差がついているのにしつこく牽制されてね。『それなら、走りましょか』って走ったんですわ。面白くなかったことはよう覚えてますよ。世界記録だったから、大事にいきたかったんですけどね」

 通算盗塁数は1065。引退から4年後の1992年に世界記録は破られたものの、日本記録は28年間破られていない。福本氏の記録を塗り替える選手は、今後出てくるのだろうか。

「今の野球は、走らせないし、走らない。足の速い人はたくさんいるけど、レギュラーを獲れないということもある。まず塁に出ないといけないから選球眼も必要だし、ヒットを打てる技術も大事になってくる。足が速いだけではだめなんです。でも、元気な人が出てきたら、できないことはないと思いますよ」

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