25年前の4番打者が語る広島カープ優勝、そして“愛弟子”新井貴浩の魅力

黒田や新井は「本当にカープに恩返ししたい、優勝したいっていう思いだけ」

――「広島で優勝したい」という新井選手や黒田選手の思いに、若手選手たちも大きな影響を受けたんでしょうね。

「そうでしょうね。タイガースでそこそこだったのが、カープの水が合うんでしょう。去年帰ってきて、結果を残している。今年は『打点王はいらない』って、最後はあまり試合に出ないでしょ。タイトルよりも純粋に優勝したかったってことですよ。黒田もそう。あそこまでの選手になって、あそこまで稼ぐと、本当にカープに恩返ししたい、優勝したいっていう思いだけ。その2人から若い選手たちは刺激を受けるだろうし、2人もまた若い選手たちから刺激を受けただろうしね」

――黒田選手が投げた試合で優勝を決めたっていうのも、また1つの劇的なストーリーでした。

「黒田はやりづらかったと思いますよ。アメリカから帰って来る時に、勝手にマスコミに“男気”ってつけられて(笑)。それでも淡々と黙々と投げ続けた彼に、人間としての大きさを感じる。名門ドジャースとヤンキースでプレーした訳ですよ。その中で成績を残した、その我慢強さっていうのは、アメリカでプレーした人にしか分からないもんでしょうね。広島は暑いから、日本にいる時から黒田も大変だったかもしれないけど、アメリカは場所場所で気温も違えば時差もある。自分が先発しない試合でもベンチに入らなくちゃいけない。投手はもちろん野手も大変ですよ」

――これからクライマックスシリーズが始まり、広島は1991年当時には届かなかった日本一を目指して戦うことになります。

「カープはここからが面白いですよ。1、2、3番が当分は固定できるからね。我々の時代は、今みたいにいつでも満員のお客さんの前で試合をしているわけじゃなかった。勝てなかったら、お客さんが見に来てくれない時代。だけど、今は利便性のいい新球場もできて、カープ女子をはじめたくさんのお客さんが応援してくれている。マーケティング戦略も含め、地域密着型の素晴らしい球団になりましたよ。広島はもちろん全国のカープ・ファンのみなさんに喜んでもらえるように頑張ってもらいたいと思いますね」

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

RECOMMEND