巨人の育成指名辞退から1年 2度目のドラフト待つ24歳外野手の今

憧れの巨人から指名も痛恨の結末で「何したんやろ…」、松澤裕介が待つ2度目のドラフト

 まるでジェットコースターに乗ったような1か月だった。昨年10月22日、プロ野球ドラフト会議で巨人から育成3位で指名された松澤裕介(24)は、天にも昇る心地がした。プロ野球選手になる夢を1年だけ追わせてほしい――。両親を説得して、大学卒業後に四国アイランドリーグplusに所属する香川オリーブガイナーズの門を叩いた。パワフルなスイングを持ち味に懸命にプレーする姿がスカウトの目に留まり、叶ったドラフト指名。だが、それから約1か月後の11月20日、左手手指関節靭帯損傷のため入団辞退という苦渋の決断をする。

「もう……なんて言うんですか、何したんやろって、めちゃヘコみました」

 子供の頃からプロ野球選手になることが夢だった。憧れたのは、当時巨人の主砲だった松井秀喜氏。愛知県出身だけに、周りはみんな中日ファン。多少肩身の狭い思いもしたが、松井氏の豪快なバッティングに心奪われた。

「ジャイアンツ戦は録画してもらって見てました。ヤンキースに行ってからも、土曜日の朝にテレビ中継がある。あれも少年野球に行く前に見たりとか、雨で練習が中止になった時はずっとテレビの前。本当にめちゃくちゃ好きで、2009年のワールドシリーズも『すげぇ』って言いながら見てましたね」

 そんな憧れの松井氏と同じ巨人のユニホームを着るチャンスをつかんだはずが……。まさに、何したんやろ……だ。

 だが、ここで腐らなかったのが、松澤の強さだ。左手の手術を終えた後、12月に地元・愛知へ戻った頃には「ここでクヨクヨしても仕方ない。やるしかないなって思いました」とリハビリに励み、もう1度香川に戻ってNPBを目指す決意をした。転んでもただでは起きない。失意の中にも自分なりに光明を見出していた。

「プロ野球選手なんて夢のまた夢だった。でも、その漠然としていた夢が、今は形ある目標になった感じです。がむしゃらにやってきた去年より、今年はどういうプレースタイルで戦えば指名してもらえるだろうっていうビジョンが見えていたんで、そこを目指してやっていました」

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