日ハムが指名も交渉難航 なぜ18歳左腕に入団拒否の可能性が浮上したのか

過去にも入団拒否にあった日本ハム、大谷は二刀流として育成

 一方で、日本ハム以外の球団は“暗黙のルール”を守ったがために、指名し損ねてしまった。そのまま入団となれば、“暗黙のルール”を守った球団が損をした形にもなりかねない。そのため、“指名されたから入団します”という流れにはなりにくい。4位以下だった場合に備えて、社会人の進路も道筋を立てていた。4位以下の指名でもプロ入りを決め、入社を断わってしまえば、その企業にも迷惑が掛かりかねない。

 日本ハムは過去にも2011年に巨人単独指名が有力視されていた東海大の菅野智之を1位指名したが、入団拒否になった例がある。ただ、2012年のドラフトでは、メジャー行きを希望していた大谷翔平を長い交渉の末に獲得。誰もが認める球界のエースに育て上げた。育成に自信がある球団は山口を戦力として必要とし、十分に育てることができると考えたからこそ、批判を恐れず指名に踏み切ったのだろう。

 学校側も、日本ハム側も、山口の将来を踏まえた上で出した結論だが、皮肉なことに対極に分かれてしまった。過去にも同様のケースは多くあり、古くは山田久志、江川卓、小池秀郎ら、近年では長野久義、菅野らが指名拒否の末、プロ入りを果たしている。

 華やかな舞台の裏で様々な思惑がぶつかり合うドラフト会議。今年も決断に悩む若者がいる。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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