苦戦したメキシコで見つけた突破口 U-23W杯でヤクルト廣岡が見せた成長

普段は遊撃手も、打撃を買われて全9戦で一塁スタメン出場

 侍ジャパンU-23代表が見事初代王者に輝いて幕を閉じた「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」。10月28日から11月6日までメキシコ・モンテレイで繰り広げられた熱戦を通じ、参戦した選手はそれぞれ貴重な経験を味わった。初戦から決勝までの全9試合に「一塁」で先発出場したヤクルト廣岡大志も、その1人だろう。

 会期中、斎藤雅樹監督は先発野手をほぼ固定した形で起用していたが、廣岡に一塁を守らせるのは、ある意味“賭け”だった。何しろ、ヤクルトで廣岡が守るポジションは一塁ではなくショート。それでも、高卒ルーキーに国際大会で不慣れなポジションを守らせたのは、将来性のある豪快な打撃を買ったからだろう。

 メキシコに渡る約1か月前の9月29日、廣岡は晴れて1軍デビューを果たした。敵地での横浜DeNA戦に「8番・遊撃」で初先発。DeNAの先発投手は、この日が引退試合の三浦大輔だった。2回1死一、三塁で迎えた初打席、チームの先輩・山田哲人2世とも呼ばれる、左脚を大きく蹴り上げる豪快なスイングで2球目フォークを振り抜くと、打球はライナーで左翼席へ飛び込む3ランに。特別な舞台で結果を出す。大器の片鱗をうかがわせる場面だった。

 が、U-23W杯では苦戦を強いられた。オープニングラウンド序盤こそ自慢の打撃が光ったが、徐々に安打や四球数よりも三振数が上回り、スーパーラウンド進出後はバットからの快音はピタリと停止。それまで無難にこなしていた一塁守備も、前日の韓国戦での3三振が響いたのだろうか、スーパーラウンド第2戦パナマ戦では、同点の8回に相手の勝ち越しを呼ぶ失策を記録。さすがに敗戦後は、うつむき加減で表情が冴えなかった。

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY