FAはステータスの象徴 日米で異なるFA制度への理解

日本では風物詩となった“涙のFA宣言”

 今オフ、パ・リーグからは北海道日本ハム・陽岱鋼選手、埼玉西武・岸孝之投手、栗山巧選手(残留表明)、オリックス・糸井嘉男選手、福岡ソフトバンク・森福允彦投手がFA(フリーエージェント)宣言し、その動向に注目が集まっている。

 国内FA権を取得するためには、原則として8シーズンの出場選手登録日数を必要とする。選手が得る特権であるが、日本では毎年のように“涙のFA宣言”が見られる。単純にシステムや文化が大きく異なる米国と比較はできないが、トレードやウェーバーでのチーム移籍が頻繁に行われる米国とは違い、育ての親である球団により愛着を持つ仕組みと文化が日本には存在する。

 米国でもワールドシリーズ終了後に、139人の選手がFAとなることが発表された。契約オプションが行使されない者なども含め、その数は今後増えていくだろう。それぞれに色々な思いがあるだろうが、涙のFA宣言をする者は1人もいない。トロント・ブルージェイズで多くの実績を積んできたホセ・バティースタ選手やエドウィン・エンカルナシオン選手も、今オフのFA市場に名を連ねそうだ。

 その中でも残留の話題は少ない。球団を舵取るGMや球団社長は、ある一定の総年俸を頭に入れた上でチーム編成を行っているので、それを圧迫するリスクはなかなか取ることができない。それを選手たち、そして契約の話を進める代理人も理解している。ビジネスの上で成り立っていることをみんなが理解しているからこそ、流される涙はないのかもしれない。

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