【パ・リーグお仕事名鑑】ロッテの名物ウグイス嬢が明かす思いと裏側 やり残しは「優勝でございます!」

ロッテの球場アナウンスを担当する谷保恵美さん【写真:(C)PLM】
ロッテの球場アナウンスを担当する谷保恵美さん【写真:(C)PLM】

選手の大事なシーンをつくり出す仕事

 グラウンドの上で輝く選手やチームを支えているのはどんな人たちなのか。本連載「パーソル パ・リーグTVお仕事名鑑」でパ・リーグに関わるお仕事をされている方、そしてその仕事の魅力を紹介していきます。

 プレイボールの約7時間前。ZOZOマリンスタジアムでアナウンスを担当する千葉ロッテマリーンズ職員・谷保恵美さんは、球場に入るやいなや、その日の出場選手に関する資料づくりに着手する。ナイター終了時間までの、長い1日の始まりだ。

「アナウンスは試合が始まってからが本番ではあるんですけど、試合前にも出場選手に達成間近の記録があるかどうかを確認したり、その日の試合のスポンサーを紹介する原稿をチェックしたりと、結構バタバタしています。プレイボールがかかると、『よし、これで試合に集中できるぞ』って、ようやくホッとできますね(笑)」

 とはいえ、谷保さんの本領が発揮されるのは、やはり試合がスタートしてからだ。マイク前の“定位置”に座ると、選手と同じように一瞬でスイッチが入る。ただ、アナウンス歴28年目のベテランであっても、緊張感は初めてプロ野球公式戦で選手の名前をコールした時とほとんど変わらないそうだ。

「選手によって『アナウンスしてから曲をかけてほしい』とか『ネクスト(バッターズサークル)から打席に向かう途中でコールしてほしい』など、リクエストがあったりもするので、選手の背中をじっと目で追ってルーティンを覚えるようにしています。打席に立つ選手のリズムを壊さないように心がけています。今でも常に緊張感はありますよ」

 見つめているのは選手の背中だけではない。その日の空模様や風向きのほか、時間に応じて太陽の位置も確認する。スタンドに目を配り、熱中症やファウルボールへの注意も喚起しなくてはならないからだ。

「毎日同じことをしているように思われがちですが、日によって状況も変わるので、試合中は気を抜くことができません。3時間半とか4時間はずっと集中していて、なかなかトイレに行けるタイミングもないので、試合前は水分をあまり摂らないようにします。あとは、熱が出ると声が出なくなるので、寝るときは首にタオルを巻いたりして風邪には十分気をつけていますね。絶対に穴をあけられないので、日頃からの自己管理がとても重要なんです」

 コンディションの管理はもちろんのこと、実は気持ちのコントロールもアナウンスにとって大事な要素だという。

「昔は言いにくい選手の名前を間違えそうになったこともありましたけど、動揺すると引きずってしまって声が硬くなるんですよね。何かミスをしても、反省はとりあえず後回しにして、その場ではすぐ気持ちを切り替えること。また、チームが劣勢の時も暗くならないよう、テンションを上げて明るい声を出すことも心がけています」

独学でスキルを磨き、アナウンス担当に

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