「防ぎようのない選手」王貞治球団会長が語ったイチロー、WBCでの秘話も…

第1回WBCで共に優勝した王貞治氏(左)とイチロー【写真:Getty Images】
第1回WBCで共に優勝した王貞治氏(左)とイチロー【写真:Getty Images】

「誰もがねスタートがあれば、終わりもあるということなんだけど」

 21日のアスレチックス戦後に現役引退を表明したマリナーズのイチロー外野手。2006年の第1回WBCで監督として日本代表を率い、このイチローとともに初代の世界一に輝いたソフトバンクの王貞治球団会長が、イチローの引退を惜しんだ。22日、ファーム本拠地のタマホームスタジアム筑後で報道陣に対応し、イチローへの思いやエピソードを語った。

 王貞治球団会長の一問一答は以下の通り。

――引退発表を受けて。
やっぱり来るべき日が来ちゃったのかなというね、誰もがねスタートがあれば、終わりもあるということなんだけど、彼にはもっともっとその日が来るとしても先だろうと思っていた。本当に残念だね」

――いつ知られましたか?
「なんとなく流れを見ているとそういう日が近いのかなというのは感じはありましたよね。第1試合で引っ込んだときなんかも交代した選手がスッと入るという雰囲気じゃなかった。そういうのがチーム内には伝わっていたのかなと思いましたね」

――東京ドームに行かれていましたが、イチロー選手本人と交わされた言葉は?
「とにかく日本で全力でプレーするということだけは言ってました。ただ、今回で辞めるということは言っていませんでした」

――会見は?
「見ましたけどね、やっぱりあれだけ日米で凄い成績を出した選手だから、そんなに悩みなんてなかったのかなと思ったら、大変な悩みでね。普通のレベルの選手が感じないというか、そういうところでの悩みかな。そこに立ったことのある人じゃなきゃ分からない悩みというのがね、それがあったから彼はチャレンジしてここまで来れたんじゃないかな」

――印象に残っているプレーがあれば。
「僕はホークスの監督になって何年かな、やったけど、とにかく防ぎようのない選手だったね。あれだけ広角に、ピッチャーが一生懸命速い球を投げたり、緩い球を投げたりするんだけど、不思議と打球が地面に落ちない、そんな馬鹿みたいに高くなっちゃうんじゃないけど、低く飛んでいくので。ゴロになったらアウトになるケースもあるんですけどね。それと、これは生まれ持った彼の運かもしれないけど、飛ぶコースがいいんだよね。不思議と人のいないところに飛んでいくというかね。神さまじゃなきゃ分からないことだけどね」

――第1回WBCでは共に優勝した
「とにかくあの時は第1回目だったので、なかなか選手が集まらなかったんですよ。12球団の足並みも揃ってなかったしね。だけど、彼が1番最初にアメリカから連絡をくれて『出ます!』ということを言ってくれたので大変心強く感じましたね。アメリカで戦うわけですから、アメリカでの野球を身を以て知っている人が先頭で参加すると言ってくれて、あの間の3週間くらいありましたかね、その間ずいぶんアメリカの野球について話してくれたことで、日本の選手たちはものすごくリラックスというか、みんなどうしても過大評価してしまうでしょう?それをそうじゃないんだ、彼も人間なんだ、むしろ我々のほうが優れている部分もあるんだと彼が常々話してくれて、一緒にやった選手はその言葉が力強かったと思いますよ」

「1人の人生が多くの人に影響を与えるということはないんで、これからもずっと語り継がれていくでしょう」

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