「ポスト秋山」は野手転向2年目迎える魅惑の長距離砲 西武・川越誠司という男

西武・川越誠司【写真:荒川祐史】
西武・川越誠司【写真:荒川祐史】

オリ吉田尚、ヤクルト村上らも獲得した台湾ウインターリーグMVPに輝く

 リーグ3連覇、そして日本一を目指す西武だが、チーム不動のリードオフマンで中堅手の秋山翔吾外野手が米大リーグ・レッズへの移籍合意。外野手の布陣が大きく変わる。そのポジションを埋める存在として名前を挙げたいのが、今季5年目を迎える川越誠司外野手だ。中村、山川、森といったチームの長距離砲の系譜を辿るような魅惑のフルスイングに“ポスト秋山”への期待が寄せられている。

 北海学園大時代は4番を打つパンチ力を秘めながら、投手としては最速149キロの直球を投げていた。2015年ドラフト2位で北海学園大から西武に入団し、貴重な左腕として期待されていたが、思うような結果が出ず。3年目の秋を迎えたタイミングで「自分の立場を考えたときに、このまま投手でやっていくよりも、野手で勝負したいと心のどこかで思っていた」という川越に、フロント陣が野手転向を打診。川越はその提案を「自分の中ではすっきりした」と前向きに受け入れ、今度は野手として再びプロのスタートラインに立つことになった。

 野手に転向して初めて迎えた昨年の春季キャンプは、2軍に相当するB班スタート。野手としての基礎をみっちり叩き込まれた川越は「学ぶことが多いけど、楽しくやっています」と汗を拭った。「走塁や打球判断が難しいですね。例えば、自分が一塁にいて、ライナーで飛び出してしまって併殺になってしまうこともありました」と約3年ぶりの走塁に苦戦していたようだったが、「ずっと野手で勝負してみたいと思っていた。(野手として)勝負させてくれて、『ありがとうございます!』という気持ちでいっぱいです」。晴れやかな表情で打者転向を提案した球団に感謝していた。

 渡辺久信球団本部ゼネラルマネージャーも川越の野手転向について「彼は入ってきたときから(投手と野手の)両にらみだった」とスカウティングの段階から打撃も高く評価していたことを改めて明かし、打者としての開花に期待を寄せた。

 打者としての川越の持ち味は、なんといっても豪快なフルスイングで引っ張って打球を遠くに飛ばすパワーだ。昨年は93試合に出場し打率.214と安定性こそ欠いたが、本塁打8本、三塁打3本を放つなど長打力で存在感をアピールした。昨年の1軍出場はなかったが、シーズン終了後には台湾ウインターリーグに参加し、打率.367と打ちまくった。本塁打3本、打点21は大会トップ。転向1年目で野手部門の大会MVPに輝き、最高の形でシーズンを締めくくった。

 同大会は2016年にオリックス・吉田正がMVPを、昨年はヤクルト・村上が川越と同じく本塁打と打点の二冠王をそれぞれ獲得。同大会は若手スター選手を数多く輩出してきただけに、川越の来季の活躍に期待がかかるのも無理はない。さらには本塁打王の山川、パMVPの森らが参加する沖縄での自主トレに同行する予定。タイトルホルダーたちと練習を共にし、野手転向2年目での大ブレークを狙う。

【動画】野手転向2年目で「ポスト秋山」に名乗り! 豪快なスイングが持ち味、西武・川越誠司の実際のバッティング映像

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