西武松坂の魔球スプリットチェンジって何? MLB関係者証言「最近流行っている」

ヤクルトとのオープン戦に3番手で登板した西武・松坂大輔【写真:荒川祐史】
ヤクルトとのオープン戦に3番手で登板した西武・松坂大輔【写真:荒川祐史】

西武松坂が新球スプリットチェンジでヤクルト村上を空振り三振に仕留めた

■西武 3-1 ヤクルト(オープン戦・15日・メットライフ)

 14年ぶりに西武に復帰した松坂大輔投手が、また話題を提供してくれた。15日のヤクルトとのオープン戦(メットライフ)に6回から登板し、3回1安打3奪三振無失点。8回に昨季セ・リーグ新人王の村上から空振り三振を奪ったウイニングショットは、フォークボールに見えたが、松坂本人が試合後「あの球は、いわゆる“スプリットチェンジ”ってやつです」と明かしたのだ。昨季12勝1敗の同僚ザック・ニール投手から教わったばかりだという。

 周囲からは「投手は相手打者に『新しい変化球がある』と思わせるだけでも有利になるからね。あの“ジャイロボール”みたいなものではないの?」との声も上がった。ジャイロボールとは、松坂が大リーグ・レッドソックス移籍当時、他の誰にも真似できない変化をする球を投げていると噂され全米で話題になった、いまだに実在するのか否か真偽不明の“魔球”のことだ。米国出身でスプリットチェンジの師匠であるニールも、「松坂といえば“ジャイロ”だよね」と語っているほどだ。

 もっとも、スプリットチェンジの方は間違いなく実在する球種である。かつて大リーグ・ジャイアンツなどで活躍し、メジャー通算110勝を挙げたティム・リンスカム投手の得意球として知られ、昨季からツインズの前田健太投手も投げているとか。フォークは人差し指と中指の間にボールを挟み、薬指と小指は折り畳むが、薬指と小指を伸ばしてボールに添えるとスプリットチェンジになるとされる。

 あるメジャー関係者は「最近流行っている球種の1つですよ。特に村上のような左打者に対して有効です。球速はフォークとチェンジアップの中間くらいで、フォークが直角に落ちるのに対し、スプリットチェンジは左打者の外角方向へ逃げながら落ちます」と説明。「かつては目にも止まらぬ剛速球で鳴らした松坂ですが、スプリットチェンジは逆に、打者にとって“見え過ぎる”からやっかいなのです。球速が遅く(村上へのラストボールは127キロ)、打者が思わず手を出した瞬間、手元ですっと逃げるので、ゴロや空振りになりやすい。ただし、高めに行けば長打を食らいやすい球なので、松坂はベルトより上には絶対に投げないことが肝要でしょう」と見る。かつての球威はなく、微妙な変化でバットの芯を外し打たせて取る投球に生き残りをかけている今の松坂には、ぴったりの球種と言えそうだ。

 カブスのダルビッシュ有投手もそうだが、松坂も研究心旺盛で、豪速球を誇っていた若い頃から、様々な変化球を試してきた。松坂が「肩の調子は(6勝を挙げてカムバック賞に輝いた)一昨年よりいい」と手応えを口にする今季、どんな“魔球”を編み出すのか楽しみだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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