W杯5連覇へ前進する侍ジャパン女子代表 7日からスーパーラウンド、勝ち抜くためのポイントは?

2016.9.6

3日に韓国・釜山で開幕した「第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ」は、オープニングラウンドが終了した。侍ジャパン女子代表は3戦全勝で、2012年からのW杯連勝を「16」まで伸ばして7日からのスーパーラウンドに進出。5連覇へ順調に歩みを進めている。スーパーラウンドでは上位2チームが決勝進出となるが、ポイントはどこか。

写真提供=Getty Images

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オープニングラウンドは3戦全勝でW杯16連勝、スーパーラウンドは上位2チームが決勝へ

 3日に韓国・釜山で開幕した「第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ」は、オープニングラウンドが終了した。侍ジャパン女子代表は3戦全勝で、2012年からのW杯連勝を「16」まで伸ばして7日からのスーパーラウンドに進出。5連覇へ順調に歩みを進めている。スーパーラウンドでは上位2チームが決勝進出となるが、ポイントはどこか。

 まずは日本の戦いを振り返っておこう。オープニングラウンドで最大のヤマ場は、初戦のカナダ戦だった。世界ランク4位で、W杯では2008年の第3回大会で2位に入るなど4大会で表彰台に上がっている強豪だったが、日本は8-2で撃破。エース右腕・里綾実(兵庫ディオーネ)が2回に2点を許すまさかの展開も、3回に足でかき回し同点。4回に小島也弥(環太平洋大学)のタイムリーで勝ち越すと、その後は着実に得点を重ねた。

 里も3回以降は快投。ヒヤッとさせたのはほんの少しの間だけで、終わってみれば日本の快勝だった。「日本が1点勝っていて前半を終えることもあるし、逆に取られて負けている状態で終わることもあると、ちゃんと頭に入れておけ」。大倉孝一監督があらゆる状況を想定し、試合前に選手に声をかけていたため、チームが落ち着きを失うことはなかった。

 続く2試合は力の差があるチームとの対戦に。オランダ戦は先発5人を入れ替えながら、相手のミスを逃さない手堅い野球で得点を積み重ねた。12-0の完勝。チームの総合力を示す一戦となった。続くインド戦も18-0の大勝。今大会初先発の有坂友理香(アサヒトラスト)が特大の3ランを放つなど、18安打で得点を重ねた。

「(オープニングラウンドは)ピッチャーを含めて選手全員の感覚を掴ませようということだったので、内容的にはしっかり掴めたと思います。(全員が)振れていることは振れている。あとは大会の感覚、ゲームの慣れというのをこの3試合でしてもらいたかったので、そういう意味ではいい予選だったと思います」

アメリカがスーパーラウンドに進めない波乱、7日の初戦はベネズエラ戦

 大倉監督は確かな手応えを示す。打線では4番に座る川端友紀(埼玉アストライア)が7打数5安打2四球で、ここまで大会トップタイの6打点を記録。東京ヤクルトで昨季、首位打者に輝いた川端慎吾を兄に持つことで知られる天才打者が、抜群の打撃センスで牽引している。日本の4連覇全てを経験している38歳の金由起子(ホーネッツ・レディース)も勝負強い打撃で3打点と存在感を発揮。1番の六角彩子(侍)はカナダ戦で、出塁後に二盗→三盗→暴投で生還と1人で得点をもぎ取るなど、日本の武器である機動力を使って攻撃に勢いを与えている。

 投手陣も、カナダ戦で2失点完投とエースの役割を果たした里を中心に、安定感が際立つ。ただ、オランダ、インドは力の差がある相手だっただけに、里以外の投手がスーパーラウンドで強豪相手に同じようなピッチングを出来るかがポイントになりそうだ。

 日本はオープニングラウンドでグループBに入っていたが、激戦となったグループCでは大波乱も。アメリカが3位に沈み、スーパーラウンド進出を逃した。第1、2回大会で優勝し、過去6大会はすべて3位以内に入ってきた世界ランク2位の強豪だが、2連勝で臨んだオーストラリア戦で2-10と大敗。得失点差で世界ランク3位のオーストラリア、6位のチャイニーズ・タイペイに及ばず、コンソレーションラウンドに進むことになった。5連覇を目指す日本の最大のライバルと見られていたが、今大会は対戦すら実現しなかった。

 スーパーラウンドには、日本、カナダ、オーストラリア、チャイニーズ・タイペイ、ベネズエラ、韓国の6チームが進出。日本はオープニングラウンドで同じグループだったカナダを除く4か国と対戦し、2位以内に入れば決勝進出、3位か4位なら3位決定戦へと進むことになる。過去6大会は全て2位以上と、決勝に進めなかったことはない。

 日程は、7日にAグループ1位のベネズエラ戦、8日にCグループ1位のチャイニーズ・タイペイ戦、9日にCグループ2位のオーストラリア戦、10日にAグループ2位の韓国戦となっている。

5連覇へ慢心はなし、アメリカ敗退にも「楽になったという感覚は全くない」

 日本にとってヤマとなりそうなのは、8、9日の2試合か。チャイニーズ・タイペイはアメリカに1-2の接戦で敗れながら、オーストラリアには12-4で快勝。大倉監督は「強いです。やっぱり守備力ですよ。ピッチャー、キャッチャーを含めて、守備力がものすごく安定してます。だからああいうゲームになっているんだと思うんです」と警戒する。

 また、オーストラリアは初戦で台湾に大敗してスーパーラウンド進出が絶望的かと思われたが、最終戦でアメリカに10-2で大勝し、突破を果たした。勢いに乗っており、指揮官も「当然、そういうこと(勢い)もあるでしょうから、ちゃんと1チーム1チームを落ち着いて分析しながら戦うという姿勢はまったく何も変わらないですね」と細心の注意を払っている。

 もちろん、まずは初戦で世界ランク5位のベネズエラに勝ち切ることが大前提。苦しい戦いが続けば、最終戦の韓国戦に決勝進出がかかる可能性も十分にある。

 最大のライバル・アメリカが早々に消えた。ただ、大倉監督は気を引き締め直す。

「(アメリカが敗退して)楽になったという感覚は全くないです。気が緩むことも全くない。それが一番怖いことであるというのは重々、承知してますから。だから、この予選リーグもそういうプレーが1つもないようにやってきました。

 まだまだ対戦相手にどういうピッチャーがいて、どういう特徴があるのか、というのが把握しきれてない。スーパーラウンドになって、他のゲームを見ながら、1試合1試合を整えていくという、いつものワールドカップの準備の仕方ですね。僕はいつも準備してます。だから変わらない。変えない。相手がどこだろうが、オープニングラウンドだろうが、スーパーランドだろうが、決勝戦だろうが、何も変わらない」

 相手をしっかりと研究し、日本の野球をやりぬく。その先に、5連覇の偉業が待っている。

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