阪神藤川が今季に危機感を抱くワケ 伝えたい「フィニッシュ・ストロング」

インタビューに応じた阪神・藤川球児【写真:佐藤直子】
インタビューに応じた阪神・藤川球児【写真:佐藤直子】

12球団随一だった阪神救援陣に警鐘「甘くない」

 2017年、前年の4位から2位に躍進した阪神タイガースの原動力となったのは、間違いなく鉄壁のブルペン陣だった。マテオとドリスの外国人勢に加え、プロ10年目の桑原謙太朗が67試合で39ホールド、防御率1.51とブレイク。高橋聡文、岩崎優らも奮闘し、救援防御率2.68は12球団随一の数字だった。2005年から4年にわたり阪神ブルペンを支えたJFK(ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之)時代のように、2018年以降の活躍に大きな期待が寄せられるが、そこに敢えて「甘くない」と警鐘を鳴らしている人物がいる。37歳ベテラン右腕・藤川球児だ。

 桑原、岩崎、マテオ、ドリス、高橋の5投手が60試合以上に登板。自身も52試合に投げ、3勝0敗6ホールド、防御率2.22の記録を残した藤川が想定するのは、「もちろん自分も同じ可能性を秘めている」という勤続疲労によるパフォーマンスの低下。同じ選手という立場から危機感を発することで「救援陣の脇が締まること」、そして「若手のモチベーションが上がること」を期待しているという。

「監督やコーチは、来季のパフォーマンスの低下は計算していると思いますよ。だからこそ、自分が言わないと。もし監督やコーチが『来年のブルペンは不安や』って言ったら、選手は『何や?』ってなるじゃないですか。だから、それを選手の立場から、わざとでも発信した方がいいと思うんです。

 極論で言ったら、チームにとっては(ブルペンは)誰でもいい。チームとして同じ数字が残れば、誰が投げてもいいわけですよ。それをブルペンの人間を固定して使おうとすると、春先はいいんだけど、日本の場合は対戦数も多いし、途中から上手くいかなくなることもある。その時、代わりに投げられる選手がいないとチームは動揺するわけですよ。チームの底力を上げる意味でも、キャンプ前に『もうリリーフは枠が空いてませんよ』っていう状況を作ってはいけない。他の選手のモチベーションが上がらなくなるから。『ブルペン危ないらしいから、俺らも頑張っておかな。チャンスあるぞ』ってならないと」

 新しいシーズンを迎えるにあたり、藤川が常に感じていることがある。過去の成績を笠に着るナンセンスさだ。

「例えば、前年に結果を残せた選手が、若手に向かって『俺はこの成績やけど、お前はこの数字出せるか?』って、終わったシーズンの話をされたらたまらないでしょ。自分だったら『いや、過ぎた後やから言うてますやん、今から出してみてください』って思いますね(笑)。今から先のことが言えるんやったら見せてくれ、終わったことは言わないでくれって、僕はいつもそう思ってる。だから自分でも前のことしか考えない。

 結果を残す選手ほど前向きだと思うんですよね。前に進むことしか考えていない。後ろ=過去に引っ張られる人間は前に進めないから。新しいシーズンに向けて、今までのことは言わないで、みんなが同じラインに立ってヨーイドンでスタートして競い合ってみようってことですよね」

「始まりじゃなくて終わりを意識しないといけない」

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