侍ジャパン劇的勝利と同時に実現させた若手の成長 稲葉監督が手応えを感じた2投手の働き

2018.11.10

野球日本代表「侍ジャパン」とMLBオールスターチームが対戦する「2018日米野球」は9日、東京ドームで第1戦が行われ、侍ジャパンが7-6で劇的なサヨナラ勝利を飾った。柳田悠岐外野手(福岡ソフトバンク)が決勝の逆転2ランをバックスクリーンに叩き込む活躍を見せた裏側で、稲葉篤紀監督は今回初めてトップチームのユニホームに袖を通した若き投手たちに手応えを感じていた。

写真提供=Getty Images

写真提供=Getty Images

2回を無失点としたサブマリン高橋「素晴らしい投球をしてくれた」

 野球日本代表「侍ジャパン」とMLBオールスターチームが対戦する「2018日米野球」は9日、東京ドームで第1戦が行われ、侍ジャパンが7-6で劇的なサヨナラ勝利を飾った。柳田悠岐外野手(福岡ソフトバンク)が決勝の逆転2ランをバックスクリーンに叩き込む活躍を見せた裏側で、稲葉篤紀監督は今回初めてトップチームのユニホームに袖を通した若き投手たちに手応えを感じていた。

 指揮官が「素晴らしい投球をしてくれたと思います」と感心を隠さなかったのは、7回から2イニングを無失点に抑えた高橋礼投手(福岡ソフトバンク)だった。メジャーでも珍しいサブマリン投法の23歳右腕は、7回1死からヤディエル・モリーナ捕手(セントルイス・カージナルス)に中前打を許すも、続くロナルド・アクーニャJr.外野手(アトランタ・ブレーブス)を空振り三振。ミッチ・ハニガー外野手(シアトル・マリナーズ)に死球を当てて、2死一、二塁と2走者を背負ったが、最後は前の打席で左翼へ2ランを運んだフアン・ソト外野手(ワシントン・ナショナルズ)を空振り三振に仕留めた。

 マウンドに戻った8回は、1死からリース・ホスキンス外野手(フィラデルフィア・フィリーズ)に四球を与えるも、先制ソロ弾のアメド・ロサリオ内野手(ニューヨーク・メッツ)を空振り三振、ホイット・メリフィールド内野手(カンザスシティ・ロイヤルズ)を三ゴロで無失点。2イニングを投げて1安打2四死球も、強力MLB打線に得点を許さぬ好投を見せた。

 稲葉監督は「初めてのジャパンのユニホームを着て登板するという緊張する中で、非常に堂々と投げていた。また、しっかりバッターのインコースを投げ切れたし、バッターも非常に苦戦しているように見えた」と高く評価。日本中の注目が集まる緊張のマウンドで、物怖じせずに自分らしい投球スタイルを貫いた右腕を絶賛した。

いきなり被弾も後続を打ち取った成田に期待「次にこれは生かしてくれると思う」

 もう1人、指揮官がその度胸の良さを評価したのが、2番手でマウンドに上がった成田翔投手(千葉ロッテ)だった。先発の岸孝之投手(東北楽天)が球数制限を超える81球を投げて降板した5回1死一、二塁。リリーフ登板した成田投手は、最初の打者カルロス・サンタナ内野手(フィラデルフィア・フィリーズ)にいきなり左翼へ3ランを浴びたが、ここで崩れない強さを見せた。続くモリーナ捕手を二ゴロ、アクーニャJr.内野手を遊ゴロに打ち取って、追加点を許さず。今回がトップチーム初選出ながらも、登板直後の被弾に動じることなく、しっかりと気持ちを切り替えて投げきった。

 稲葉監督は「成田にはもっともっと楽な場面で投げさせたかった」と本音を隠さなかったが、失敗から学ぶこともある。「非常にタフな場面で打たれてしまったが、その後はしっかり抑えました。逃げずに堂々と投げてくれましたので、次にこれは生かしてくれると思う」と、さらなる成長に期待した。

 今回の「2018日米野球」に選ばれた侍ジャパンメンバーには、国際試合の経験を持つ常連選手と、国際試合の経験を持たない若手選手が入り交じっている。2020年の金メダル獲得に目標を置く指揮官は、MLBオールスターチームと戦う6試合の中で、勝敗はもちろん選手、そしてチームの成長にもこだわりを見せる心積もりだ。

 劇的な白星をつかむと同時に、初選出の投手たちに実戦の中でしか学べない貴重な経験を積ませることにも成功した第1戦。稲葉監督の狙いが具現化した好試合となった。

写真提供=Getty Images

記事提供=Full-Count
写真提供=Getty Images

NEWS新着記事