MLBの新たな年俸削減案にボイコットも? 米紙が可能性のある選手をタイプ別に検証

ヤンキース・田中将大(左)とエンゼルスのマイク・トラウト【写真:Getty Images】
ヤンキース・田中将大(左)とエンゼルスのマイク・トラウト【写真:Getty Images】

「ニューヨーク・ポスト」が年俸削減で出場拒否が予想される選手を3タイプに分け検証

 7月4日(日本時間5日)の独立記念日前後の開幕を目指し、選手会との調整が続いているMLB。26日(日本時間27日)に提示された新たな年俸削減案には選手会側から猛反発が噴出している。この条件のまま開幕に踏み切った場合、試合出場をボイコットする選手は現れるのか。米紙「ニューヨーク・ポスト」が検証している。

 MLB側が提示したのは年俸の金額に応じて削減額が決まる案で、高年俸選手ほど削減幅が大きく、最大で75%カットとなる可能性も指摘されている。記事によれば、複数の代理人が「ほとんどの選手は試合があれば戻ることが予想されるものの、プレーしないことを選ぶ選手が出てきても驚かない」と見ており、なかには「出場しない選手が出てこないほうが驚きだ」との声もあるという。

 では、出場しないことを選ぶ可能性が高いのはどんな選手なのか。「ニューヨーク・ポスト」では健康上の懸念から出場を見送る選手を除き、3タイプに分類している。

 第一に挙げられるのが今回の提案で最も減額の幅が大きい高年俸の選手たちだ。彼らはこれまでに巨額の収入を得ているが、それはこれまでの成果に対する当然の対価であり、記事では「これだけの額を得られるところまで一生懸命取り組んできたのだから、こんなに限られたキャリアの中で罰則を科されるなんて不公平だ」と選手の胸中を代弁している。また、今季3600万ドル(約39億円)で最高額となる予定だったゲリット・コールとマイク・トラウトの2人が偶然にも第一子の出産を控えていることを引き合いに「お金に加え、ほかの外因がいくらかの選手を2020年出場から遠ざけるかもしれない」と推測している。

 次に考えられるのが、複数年契約を結んでいる選手の中で、2020年が年俸額の少ない年である選手たち。多くの場合、長期契約では年を重ねるごとに年俸が高くなるよう設定されている。今回の年俸削減案に強い反発を示しているブレイク・スネルを例にすると、5年総額5000万ドル(約54億円)の契約2年目となる今季は通常なら700万ドル(約7億5000万円)。試合数に応じた減額なら82試合で350万ドル(約3億8000万円)となるが、MLBの提案だと約200万ドル(約2億2000蔓延)にまで減ってしまう。このように年々年俸が上昇していく契約をしており翌年以降の収入が保証されている選手たちも、今季の些細な年俸を手放すことに抵抗は多くないだろう。なお、スネルは2021年に1050万ドル(約11億3000万円)、2022年は1250万ドル(約13億5000万円)、2023年には1600万ドル(約17億2000万円)の年俸額が予定されている。

 さらに可能性として挙げられるのが、ヤンキース田中将大投手ら今オフにFAとなる選手たち。記事では「2020年の収益減への対応として、今オフ調停年にあたる選手やフリーエージェントとなる選手が金銭的に壊滅的な事態に直面するであろう」と予想。「短く、例年と大きく違ったスプリングトレーニングという条件のもと、怪我をして経歴を傷つけるだけになるかもしれないのに、シーズン半分の成績を積み上げるためだけにこういった選手がプレーすることを選ぶだろうか?」と、FA予定の選手にも懐疑的な目を向けている。

 いずれにせよ、現行の年俸案では選手側からのさらなる反発は必至。開幕へ向け、MLBも難しいかじ取りを迫られている。

(Full-Count編集部)

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