小中高に過度な筋トレは不要? 専門家が指摘する野球少年に必要なもの

小学生に筋力トレーニングの必要はありますか?
小学生に筋力トレーニングの必要はありますか?

日本屈指のTJ手術執刀医・古島弘三医師に編集部が聞く10の質問・第5問

【教えて!古島先生5】
 新型コロナウイルスの感染拡大で、小中学生の野球少年少女たちにも影響を与えた。一時は活動自粛を強いられるチームも多く、この時期にトレーニングについて考える時間も多かったはず。野球における肩肘の障害を専門とする慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師による連載「教えて!古島先生」第5回では「小学生に筋力トレーニングの必要はありますか?」という質問を投げかけてみた。気になる先生の答えは……。

 健康が重視される昨今、一般にもフィットネスブームが起きているが、野球界もまた例外ではない。選手はよりアスリート化し、プロ選手たちは食事にも気を遣いながら筋力トレーニングなどで万全な身体を維持している。これに刺激を受けてか、筋力トレーニングを取り入れる高校も増えたり、小学生のうちから始める子どももいるが、果たしていつから始めればいいものなのか。

 古島医師は「僕の考えですが」と前置きしながら、持論を語ってくれた。

「1つ1つの筋肉を大きくする筋トレは、小中高はまだやらなくていいんじゃないかと思います。野球でいえば、そういう筋トレは高校を卒業してから少しずつやっていけば。その方が効果的だと思っています」

 その根拠となるのが「スピード」にあるという。

「身体を動かす上では、スピードも大事です。小中学生はまだスピードがない時期。プロの選手と比べれば、走る、(バットを)振る、(ボールを)投げるという、いろいろな動作のスピードは劣ります。細くていい筋肉をつけるのであればいいですが、筋肉を太くするとかパワーを付けるのであればスピードが身につかない。結局、大学、社会人になった時、筋力はあるけどスピードがなければ意味がないと思います」

 古島医師が好例として挙げるのが、今はメジャーで活躍するダルビッシュ有投手と大谷翔平投手だ。「高校の時はすごく身体の線が細かったですよね。今はメジャーでどんどん身体を大きくしている。そういう流れでやるのが、すごくいいんじゃないかと」と太鼓判を押す。

 それというのも、古島医師は「24、5歳まではスピードや技術は伸びる時期だと思っている」からだという。「自分のピークに行く前に筋肉を付けすぎると、技術やスピードの発達が止まってしまうんじゃないかと、僕は考えます」。動画の中では、古島医師が考える適切な筋トレ導入時期についても語られている。

【動画】小学生に筋力トレーニングの必要はありますか? 専門家が「やらなくてもいい」という理由は?

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