巨人高卒2年目・直江が得た課題と収穫 沢村賞投手が評価する“球速以上の球威”

巨人・直江大輔【写真:編集部】
巨人・直江大輔【写真:編集部】

中日戦で3回まで完全投球も4回にピンチ、川崎憲次郎氏「投手の心理は動きやすい」

■巨人 3-2 中日(30日・東京ドーム)

 巨人は30日、本拠地での中日戦に3-2で逃げ切り勝ちし、35勝21敗3分けで今季初の貯金14とし、首位で8月を終えた。この日、先発マウンドを任されたのは、2年目右腕の直江大輔。8月23日の広島戦で1軍デビューを飾ったばかりで、プロ2度目の先発試合。さらには、本拠地・東京ドームでは初先発ながらも、3回まで中日打線を無安打無四球に封じるパーフェクト投球を披露した。

 だが、4回1死から平田良介に右前打を浴びると、続くアルモンテは左前打。2死一、二塁から高橋周平に中前へタイムリーを運ばれて1点を失った後、阿部寿樹を歩かせて満塁としたところで、交代を告げられた。プロ2戦目は、3回2/3を投げて3安打4奪三振1四球1失点(自責1)とした20歳右腕について、「3回までは自分のペースで投げられていた。ちょっとした変化で投手の心理は動きやすいもの。この経験を次に生かしてほしいですね」と話すのは、ヤクルト・中日OBで元沢村賞の川崎憲次郎氏だ。

 快調に飛ばしていた直江がつまずいたのは、4回だった。先頭・大島洋平を空振り三振としたが、続く平田にライト前にヒットを許す。走者を背負った直江は、ここから急にリズムを崩し、制球を乱すようになった。

「セットポジションが苦手という訳ではなく、走者を背負ったプレッシャーでタイミングが取りづらくなったんでしょう。今は走者がいる場面ではクイックで投げることを求められる時代。そこに意識が行き過ぎて、自分のタイミングで投げられずにボールに指が掛からず、抜け球が増えたんだと思います。また、狙ったところに投げようと集中しすぎるあまり、上半身だけが前に突っ込んでしまい、腕の振りが遅れてしまいましたね」

 川崎氏によれば、直江はもともと「体に対して腕がワンテンポ遅れて出てくるタイプ」の投手だという。「腕がわずかに遅れることで、打者はすごくタイミングが取りづらいはず。ストレートも球速以上に球威を囓るし、カーブ、スライダーもいいですね。ストライクを取れるだけではなく、勝負球にもなる」と、3回までの投球と高く評価。同時に、4回に見えた課題にも触れながら、今度の成長に期待する。

「ヒットを打たれるのは仕方ない。ただ、走者を2人以上溜めると、誰でもプレッシャーが掛かるものです。走者を1人で抑えるにはどうしたらいいのか、どこで抑えればよかったのか。今日もここで止めておけば楽だったのに、というポイントがあります。そこを自分で振り返って考え、次に生かすことが大事。まだプロ2度目の先発ですから、こういう経験を重ねながら自分の成長に繋げていってほしいですね」

 収穫と課題がはっきり見えたプロ2戦目。多くの可能性を秘めた20歳右腕が、ここからどんな投手に成長していくのか、期待したい。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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