衝撃のロッテ初登板にみた澤村拓一の覚悟 球団OBが分析する井口監督の思惑とは

8日の試合で移籍後初登板を果たしたロッテ・澤村拓一【画像:パーソル パリーグTV】
8日の試合で移籍後初登板を果たしたロッテ・澤村拓一【画像:パーソル パリーグTV】

リーグ1位優勝は1974年以来、実現していないロッテのキーマンになれるか

 ロッテ・澤村拓一投手が巨人から移籍後、好投を続けている。8日の本拠・日本ハム戦では3者連続三振。ファンに強烈な印象を残した。ロッテで守護神として活躍した小林雅英氏はこの衝撃の1イニングに澤村と井口監督の覚悟を見たという。移籍当日、それもファーム暮らしだった右腕を1点差で使ったことにはシーズンを占う大きな意味があった。

 雄叫びをあげる気合に、ロッテファンは痺れた。投球を映像で見た小林氏は「澤村くんはすごくいい顔していましたね。良い集中で、マウンドに上がれていたんじゃないかなと思います」。巨人では移籍前に3軍も経験。一方、ロッテで与えられている場面は勝ちパターン。中継ぎにとっては、首脳陣の信頼、心意気を感じるところだ。

 勝敗に影響が出る可能性のある大事なイニングだったが、小林氏は「すべてのことが確認できるシチュエーションだったのではないかなと思います。澤村くんが残りシーズン、ロッテの戦力になるかどうかを見定める意図があったのではないか」と分析する。

 久しぶりの1軍登板。5点、6点など点差が離れた気持ち的に楽な場面で“試運転”させるという起用も考えられたが、井口監督は1点差で送り出した。トータルでみれば、自軍の攻撃がまだ4イニングあるという心の余裕があるが、澤村にとってみれば、1点も与えられない場面。点差が離れたところで、抑えることが出来ても、高い評価には繋がらない。緊迫した場面でなければ、あのようなアドレナリンが出るようなピッチングはできなかっただろう。

「井口監督はこの1イニング、腹を括っていた感じがしますね」と小林氏は解説する。

「これから任せていかないと行けない場面は勝負どころのこういう場面です。劣勢でも流れを変えるようなピッチングが求められる。初登板は0か100か、すべての判断ができる場面でした。もしも、救援に失敗していたら、そういう勝負所で起用できないという判断をしていたかもしれません」

 澤村の置かれていた状況や思考も考え、精神力、集中力、野球に対してのモチベーションをどのようにボールに込めるかを見たかったはず。首脳陣の期待に右腕が応えた最高の結果となった。

ロッテ日本一に導いた守護神も緊迫した場面で何度も投げてきた

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