巨人から楽天移籍の田中貴は「穴埋めではない」 石井一GMは二塁送球1.9秒を高評価

楽天・石井一久GM【写真:荒川祐史】
楽天・石井一久GM【写真:荒川祐史】

巨人から金銭トレードで移籍した田中貴が楽天入団会見「送球の捕ってからの速さ、正確性には自信がある」

 巨人から楽天に金銭トレードで加入した田中貴也捕手が30日、オンラインで入団会見を行った。巨人時代に「69」だった背番号は「55」に決まり、田中貴は「松井秀喜さんのイメージしかない。巨人の選手からは『55かよ!』とびっくりされました。イーグルスの55は田中貴也だと覚えてもらえる選手になりたい」と笑顔を浮かべた。

 28歳の田中貴は左打の捕手。八重山商工、山梨学院大を経て、2014年育成ドラフト3位で巨人入り。17年に支配下登録された。通算で1軍出場は2試合で安打はまだない。今季は1軍出場はなく、イースタン・リーグ40試合、打率.234、4本塁打、12打点。どんな時でも元気を失わない、明るい性格がトレードマークだった。「元気も大事だが、結果を1番に求めて頑張りたい」と決意も新た。「安定した守備力、特に送球で捕ってからの速さ、正確性には自信がある」とアピールした。

 楽天では、正捕手格の太田が26日の西武戦で左肩を負傷し、今季中の復帰が難しい状況。足立も故障で1軍登録を抹消され、捕手が急激に手薄になっている事情がある。田中貴にも1軍出場の機会がありそうで、「チャンスをしっかりモノにして、1軍のレギュラーになれるように頑張りたい」と意欲を示した。

 同席した石井一久GMは「手薄になった捕手というスポットを埋めるというような、浅はかな狙いで獲得したわけではない」と強調。「二塁送球のタイムは1.9秒。スローイングの能力が高いことは、以前から把握していた。ウチには彼が捕手としてワークできる環境があると思う」と語った。さらに「ウチは今年のドラフトで、捕手以外に優先して補強したいポジションがある。(田中を獲得できたおかげで)別のポジションに枠を使える」とチーム事情も明かした。

 楽天は29日現在、首位ソフトバンクに6.5ゲーム、クライマックスシリーズ進出圏の2位ロッテにも5.5ゲーム差をつけられているが、田中貴は「楽天イーグルスのリーグ優勝、日本一のために、やってやるぞという思いでいっぱい」と語る。楽天と巨人の間のトレードは、今シーズン中だけでも、ウィーラーと池田、高梨と高田に続いて3件目。ウィンウィンの結果になれば、何よりだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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