本塁打王争いは「巨人岡本に分がある」 分析のプロが指摘する阪神大山との違い

阪神・大山悠輔(左)と巨人・岡本和真【写真:荒川祐史】
阪神・大山悠輔(左)と巨人・岡本和真【写真:荒川祐史】

元巨人でチーフスコアラーを務めた分析のプロ・三井康浩氏が解説

■阪神 4-1 巨人(2日・甲子園)

 阪神の大山悠輔内野手は2日、本拠地・甲子園球場で行われた巨人戦の2回に、左翼席へ先制23号ソロを放ち、本塁打王争いでトップの巨人・岡本和真内野手に1本差と肉薄した。だが、かつて巨人で22年間スコアラーを務めた分析の専門家、三井康浩氏はそれでも「タイトル争いは岡本がかなり有利」と見る。その理由とは。

 大山は2回先頭、巨人先発の左腕・今村から真ん中に来たフォークを見逃さず、左翼席へ放り込んだ。この日、ノーアーチだった岡本に1本差。残り試合は巨人が33、阪神が32。阪神の選手が本塁打王を獲得すれば、1986年のバース以来、実に34年ぶりとなる。

 岡本か、大山か――。約20年以上、相手打者を分析してきただけでなく、松井秀喜氏や清原和博氏、阿部慎之助(現・巨人2軍監督)ら自軍のホームランバッターを見てきた三井氏は「岡本に分があると思います」と分析した。それは、打席の内容に差があった。

 大山は5回2死一、二塁でも、巨人2番手の宮國に対し、カウント3-0から真ん中高めに来た144キロのストレートを、待ってましたとばかりに強振し、センター左のフェンス際まで飛ばしたが、あえなく失速し中飛。7回1死一、二塁では4番手のビエイラに対し、2球目に外角高めの甘いコースに来た152キロの速球をファウルにし、ほぼ同じコースの3球目の151キロも打ち損なって、二飛に倒れた。

「この日の試合でも、大山には、2本もしくは3本ホームランを打つチャンスがありましたが、ミスショットが目立ちました。本塁打王を取る打者というのは、甘い球を見逃すことが極めて少ないものです」

 松井秀喜氏が3度(1998年、2000年、2002年)、タフィー・ローズ氏(2004年)とスコアラー時代に巨人の選手たちが本塁打王を獲得した時も、他球団の選手も本塁打王やタイトルを取る選手は失投を決して逃すことはなかった。そんな印象が残る。一方、岡本は1発こそ出なかったが、4回の第2打席で、西勇が外角低めの絶妙のコースに投じたスライダーを左前へ打ち返す技術を見せた。成長著しい若きスラッガーには、その風格が漂っている。

 本拠地・東京ドームでまだ14試合を残していることも、アドバンテージになりそうだ。セ・リーグの本塁打王は、昨季まで3年連続で外国人選手が獲得した。岡本と大山は、どちらが勝っても初タイトルとなる。岡本か、それとも大山の確率が高まっていくか――。現時点では岡本有利の分析だが、今後、和製大砲同士で長年にわたってタイトル争いを続けてくれれば何よりだ。

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(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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