プロ初猛打賞のロッテ藤原は「目つきが変わってきた」 元MLB右腕が見る成長の証

ロッテ・藤原恭大【写真:福谷佑介】
ロッテ・藤原恭大【写真:福谷佑介】

コロナ禍で大幅に戦力入れ替えも、存在感光る若手選手たち

■ロッテ 3-1 ソフトバンク(9日・PayPayドーム)

 ロッテは9日、敵地で行われたソフトバンクとの首位攻防戦に3-1で勝利し、ゲーム差なしで並んだ。投げては、先発の二木康太投手が7回を3安打9奪三振1四球1失点と好投を披露。打っては、2年目・藤原恭大外野手がプロ初となる3安打を記録する活躍ぶりで、首位・ソフトバンクに食らいついた。

 8回には、代打出場したルーキーの高部瑛斗外野手が左翼へ打球を運んでプロ初安打を記録。コロナ禍で戦力ダウン必至かと思われたが、若手選手がチームに活気を与えている。その中でも、この日プロ初となる猛打賞に加え、盗塁を成功させた藤原を見て「だいぶ目つきが変わってきましたね」と頼もしげに話すのが、阪神OBでメジャーでも活躍した藪恵壹氏だ。

 この日「1番・左翼」でスタメン出場した藤原は、初回に二塁への内野安打で出塁し、先制ホームを踏んだ。第2打席は見逃し三振だったが、4回の第3打席にはレフトへヒット。1点リードで迎えた6回2死三塁の追加点機には、きっちり右翼へタイムリーを運び、貴重な追加点をもぎ取った。

 藪氏は「良かったですね。久しぶりに藤原選手の打席を見ましたが、しっかり力強いスイングできている。しっかりファームで育っているなという感じがします。2年目になって、目つきが変わってきましたよ。プロの目つきになっている。スター性もあるし、この先が楽しみな選手ですね」

 もう1つ藤原が藪氏を驚かせたのは、6回に決めた二盗だ。ソフトバンクで先発マスクを被ったのは、球界随一の強肩を持つ甲斐拓也だ。この試合前まで、楽天の太田光と並んでリーグトップの盗塁阻止率(.333)を誇る甲斐から、難なく二塁を奪ってみせた。「ロッテは足を使ってきますね。失敗してもどんどん仕掛けてくる。相手に嫌な印象が残りますよ」と、藤原が残したインパクトの強さを語る。

 この日、快音が響くことはなかったが、ルーキーの佐藤都志也捕手、4番で起用され続ける3年目・安田尚憲内野手らヤングロッテの存在感が増している。

「コロナ感染の影響で選手が22人も入れ替わった。2軍は試合が組めないほどですよ。それでも安田、藤原といった、この先チームの軸になるであろう若手たちが1軍で頑張っている。ここに佐々木朗希投手も入ってくれば、将来のロッテは本当に楽しみなチームになりますね」

 新型コロナウイルスの影響を受けた選手が戻るまで約2週間。「ここが踏ん張りどころ」と藪氏は言う。

「6日のオリックス戦には負けたけど、あれは山本由伸投手が投げた試合だったので仕方ない。その後は2勝してますからね。頑張っていますよ。頼りにしていた岩下(大輝)投手が先発ローテから抜けてしまいましたが、ちょうど新加入したチェン・ウェイン投手が試合で投げられる状態に近づいてきた。最後の1か月、どんな展開になるのか楽しみですね」

 ピンチは最大のチャンスとは言うが、ロッテの若手選手たちがチームをチャンスへと導いている。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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