作新学院で3年連続甲子園 ホンダの朝山広憲が奪三振ショー、親子2代で大舞台

先発したホンダ・朝山広憲【写真:鳥越涼芳】
先発したホンダ・朝山広憲【写真:鳥越涼芳】

1回戦では4回4失点も中5日で7回無失点の好投「ここから勝利を」

 30日に東京ドームで行われた第91回都市対抗野球大会第9日目の第3試合で、ホンダが4-1で西部ガスを下して、前回優勝した2009年以来となる4強進出を決めた。7回無失点の好投でお立ち台に立った先発の朝山広憲投手は「1回戦はよくなかったけど、開き直ってバッターに向かって行く気持ちを全面に出した。チームに貢献できてうれしい」と顔をほころばせた。

 ルーキーながら、南関東2次予選では2試合の先発を任され、防御率1.29の活躍でチームの第1代表決定に大きく貢献した。24日の大阪ガスとの1回戦の先発でも任されたが、4回途中で4失点と試合を作ることができずに無念の降板。その後に打線が爆発しチームは逆転勝利をおさめたが、朝山にとってはほろ苦い都市対抗デビューとなった。

 この日は中5日で4強をかけた西部ガスとの3回戦に先発し、7回まで毎回の13奪三振無失点の快投で西部ガス打線の勢いを止めた。見事なリベンジ投球にも初戦から「大きく変えた部分はない」という。

「頭を残してしっかり投げ切ることが、1回戦はあまりよくできていなかった。修正ポイントを確認して、意識だけしました」。基本に立ち返り、予選から磨いてきた低めへの制球を徹底。ノビのある直球と、右打者の内角に食い込むシュート、打者の手元で落ちるスプリットなどの変化球で相手を幻惑した。

 5回には直球で3者連続見逃し三振を奪うなど、元西武・松沼博久氏が東京ガスに在籍していた第49回大会に記録した最多奪三振「17」まであと4つと迫る奪三振ショーに「全く知らなかったです。三振は全く意識していなかった」と目を丸くした。7回でマウンドを降りると、ベンチからナインに声援を送り、勝利の瞬間は最前でチームメイトを労った。

 栃木県出身で作新学院では3年連続で夏の甲子園に出場。法大では高校時代に痛めた右ヒジが癒えた3年春にデビュー。遅咲きだったものの、4年秋には4勝をあげ、防御率0.68で最優秀防御率のタイトルにも輝いた。

 ホンダに入社して今年が1年目。父・憲重さんはPL学園高の主将として全国制覇を成し遂げ、本田技研(現在のホンダ)で都市対抗出場という華やかな経歴を持ち、親子二代で本大会のグラウンドに立っている。

 25日に23歳の誕生日を迎えたばかりだが、コロナ禍で外出を禁じられているため当日は「寮でこもっていました」と笑ったのびしろたっぷりの右腕。スタンドに駆け付けたファンの前で「まだ優勝できたわけじゃない。ここから勝利を積み重ねていきたい」と高らかに宣言していた。

(安藤かなみ / Kanami Ando)

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