ロッテ首脳陣が佐々木朗希を“守る”ワケ 井口監督の信念と吉井コーチの親心

ロッテ・井口資仁監督【写真:荒川祐史】
ロッテ・井口資仁監督【写真:荒川祐史】

「規格外だからこそ、怪我のリスクも大きくなる」 井口資仁監督独占インタ第3回

 2021年、就任4年目を迎える井口資仁監督が率いるロッテは、2010年以来11年ぶりの日本シリーズ優勝に向けて、ギアを一段上げていく。「もう上はそこしかないですからね。掴み取ります」という指揮官の言葉通り、目指すゴールはただ一つ「優勝」だ。

 自分たちの手で優勝を掴み取れるチームとするために、選手の育成と合わせて、積極的な補強にも着手。2月1日のキャンプインには、どんな顔ぶれとなっているのかも楽しみだ。

 ファンにとっての楽しみと言えば、2019年ドラフト1位入団の佐々木朗希投手の成長だろう。

 コロナ禍でイレギュラー開催となったルーキーイヤーは、シーズン終盤にも実戦デビューするかと思われたが、見送られた。ファームでトレーニングを積ませるのではなく、シーズンの大半を1軍に帯同させるという異例の措置はなぜとられたのか――。

 2021年の幕開けとともに、井口監督の本音に迫る全3回の独占インタビュー。最終回は「守る」をキーワードにお届けする。

 ◇ ◇ ◇

 2019年10月17日。都内で行われたドラフト会議で注目を集めたのは、超高校級と話題の大型右腕・佐々木朗希の行方だった。日本ハム、楽天、西武、ロッテとパ・リーグ4球団が1位指名。息詰まる抽選の結果、右手でガッツポーズを作ったのは井口監督だった。

 190センチを超える長身から投げ下ろされるストレートは、高校2年生の時には時速150キロに達していた。大船渡高のエース&4番として臨んだ最後の夏は、岩手大会決勝で敗退。前日の準決勝で129球完封勝利を飾った佐々木は、決勝のマウンドに上がることがなく、当時は国保陽平監督の判断を巡り、各所で議論が巻き起こった。

 沢村賞に2度輝いた元ソフトバンクの斉藤和巳氏は、昨年2月にキャンプ地で佐々木のキャッチボールを目にした後、「日本の宝」と言った。球界OBや評論家の間では“二刀流”大谷翔平を超える逸材だと評価する声も聞こえる。どれだけの才能を持っているのか、早く実戦で見たいと願う人は多いだろうが、井口監督と吉井理人1軍投手コーチは佐々木の体を守った。

 いくら160キロを超える剛速球を投げる技術を持っていても、その負荷に耐えうる体がなければ必ず故障に繋がる。怪我で涙を呑むことがないように、地道な体作りから着手した。恒例の石垣キャンプでも、キャッチボールをする距離と強度、時間を計画的に延ばす慎重なアプローチ。井口監督は「正直、僕はピッチャーに関しては素人。そこは専門の人がどうやるか。コンディショニングを担当するトレーナーも含め、吉井さんを中心にじっくり育ててもらっています」と話す。

「しっかり体を作ってフォームを固めていかないと、大怪我に繋がる可能性がある。去年は状況を見ながら終盤に1軍で投げることも考えてはいたけど、そこは急いでもいいことは絶対にない。シーズンを通じて1軍に同行したことで、朗希もいろいろな経験をしたと思います。体作りが中心にはなりましたけど、これは必ず今年に繋がると思いますから」

ファームでの雑務も経験「いろいろな意味で成長している」

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