甲子園で物議醸した「カット打法」 元花巻東の“小兵野手”が切り拓いた生きる道

13年夏の甲子園で「カット打法」で話題を集めた千葉翔太さん【写真:本人提供】
13年夏の甲子園で「カット打法」で話題を集めた千葉翔太さん【写真:本人提供】

13年夏の甲子園で“カット打法”で話題に、プロ入りを目指したが昨年11月に現役引退した

 花巻東時代に「カット打法」で話題を集めた千葉翔太さんが昨季限りで現役引退した。日大を経て18年から社会人野球・九州三菱自動車でプレーしてきたが、3年間でプロ入りの夢を叶わずにユニホームを脱ぐことを決断。Full-Count編集部では千葉さんに電話取材。小学4年生からの選手生活や高校時代に物議を醸したカット打法、今後の目標や夢を聞いた。

 スッキリした語り口だった。昨年11月に現役引退した千葉さんは小学4年生から16年間の選手生活を終え、「プロ野球を目指すにあたって社会人野球では3年間が勝負だと思ってやっていました。やり残したこともないですし、後悔もありません。中学生の時以外は全国大会を経験できましたし、本当に楽しかったです」と振り返った。年末には九州三菱自動車を退社。現在は故郷・岩手に戻り次の活動へ準備を進めているという。

 花巻東高3年夏の甲子園で外野手として4強入りし、日大3年秋に明治神宮大会に出場。プロ入りの夢を持って九州三菱自動車に入社したが、勝負の3年目は左肩痛に悩まされた。「春先に関節唇の怪我をして10メートルぐらいしか投げられなくて……。これまで怪我をしたことがなかったのでショックでした」。コロナ禍で試合どころか日々の練習もできず。昨秋に投げられるまで回復したものの、ユニホームを脱ぐ決断をした。

「打率でなく出塁率を――」。花巻東高時代、佐々木洋監督から口酸っぱく言われてきた。打撃では左翼、右翼と打ち分ける練習に集中し、時には三塁ベンチ方向へファウルを打つ練習も。「自分の役割は何かを模索しながら、なんとか出塁するつもりでやっていました。(ファウル打ちは)急に出来るようになったわけではないです。練習をやっていく中で身についていきました」。

 13年夏の甲子園。左打席からファウルで粘るカット打法が話題になった。最速153キロの安楽智大(現楽天)を擁する済美(愛媛)との3回戦では内野5人シフトを物ともせずに3安打。続く準々決勝の鳴門(徳島)戦では相手エースの板東湧梧(現ソフトバンク)に計41球を投げさせ、4四球と安打で5打席連続出塁した。しかし準々決勝の試合後、高校野球の特別規則に抵触するとして注意を受け、準決勝の延岡学園(宮崎)戦ではカット打法を封印。千葉は1球もファウルを打たず、4打数無安打でチームも敗退し、涙を流した。

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