選抜8強を封じた“元記録員” 関東切符つかんだ関東一投手陣は「全員がエース」

関東一・鈴木義信【写真:川村虎大】
関東一・鈴木義信【写真:川村虎大】

背番号11の右腕・鈴木義信が東海大菅生打線に7回1失点の好投

 高校野球の春季東京都大会は24日、ダイワハウススタジアム八王子で準決勝2試合が行われた。関東一は、今春の選抜ベスト8の東海大菅生に4-1で勝利。5月15日から行われる関東大会への切符を手にした。昨秋は記録員だった背番号11の右腕・鈴木義信投手(3年)が7回6安打1失点の好投。8回からエース・市川祐投手(3年)にマウンドを託し、快勝した。

 東海大菅生打線を封じ込めた。鈴木は初回、先頭の榮に中前打を許し、暴投で無死二塁のピンチを招いたが、2番・小山のバントを迷わず三塁に送球して二塁走者をアウトに。後続も打ち取り、無失点で滑り出した。2回以降も粘りの投球で、スコアボードに「0」を並べると、4回に打線が応えた。1死から4番・楠原悠太内野手(3年)の右翼への二塁打をきっかけに、4連打と暴投で4点を先制。鈴木は6回に自らの牽制悪送球などが絡んで1点を失うも、最少失点で8回からはエース・市川がマウンドへ。2回無失点で締め、東海大菅生の都内公式戦連勝記録を「19」でストップさせた。

「秋は市川に頼りすぎました。投手だけで練習するときに、全員がエースという気持ちでやろうと誓いました」

 鈴木がそう語るように、投手陣の底上げを目指してきた。今大会、準々決勝の国学院久我山戦では小宮山力投手(3年)が3回無失点、成井颯投手(2年)が3回1失点とそれぞれ好投した。

 鈴木も頼もしさを増したひとり。昨秋の都大会1回戦では、記録員としてベンチにいた。ひと冬を越えて見せた成長に、米澤貴光監督は「サイドに転向して、この冬に結果がついてきたので、先発で投げさせると決めました。夏は連投になるので、市川だけとはいかない。いいピッチングをしてくれた。本人たちの努力の結果です」と目を細める。

 新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言のため、25日に予定されていた日大三との決勝は関東大会後に延期。それでも鈴木は「やることは変わらない」と前を向く。“全員がエース”の関東一が、夏の集大成へと向かっていく。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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