激安年俸172万円、家族と暮らせぬ困窮マイナー選手が思い吐露「来季は違う状況に…」

マイナーリーガーが厳しい現状について吐露した【写真:Getty Images】
マイナーリーガーが厳しい現状について吐露した【写真:Getty Images】

エ軍傘下2Aの捕手の告白 経済的問題で引退選ぶ選手も

 将来のメジャーリーガーたちがしのぎを削るマイナーリーグ。今季から従来の約160球団から120球団に削減され、選手の待遇も改善されたというが、それでも選手たちの生活はひっ迫しているようで、エンゼルス傘下2Aに所属する選手が現状を語っている。

 米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」によると、エンゼルス傘下の2A「ロケットシティ」でプレーするマイケル・クルーズ捕手はベッドルーム3つの間取りの部屋に、自身を含め6~7人で暮らしている。今季キャンプ地入りする前に夫人がプエルトリコで第1子を出産したが、家族を米国に呼び寄せて一緒に暮らすことは経済的に困難で「一般的な父親なら(間近で)自分の子どもの姿を見ているだろう。その機会を逃してしまっている。残念な気分だ」と語る。

 マイナーリーガーは通常年に1万5000ドル(約172万円)以下の収入で、これに敵地での試合の場合は1日25ドル(約2860円)が支給されるだけ。クルーズも例に漏れず、車中生活の経験もあるという。今季待遇が改善されたといっても、まだまだ現実は厳しいようだ。

 そんな中、クルーズは「選手たちは思いを口にすることを恐れている。だけど僕は恐れていない。これは僕のキャリアなのだから。自分に何ができるのか理解している。自分の人生にだって目的はある」と語り、「願わくば来季は違う状況になってほしいね。僕たちはこんな扱いを受けるべきではない」ときっぱり述べた。

 クルーズは同僚のキーラン・ラブグローブ投手の行動に勇気を得て声を上げたという。ラブグローブは今年7月、米スポーツ専門局「ESPN」の取材を受け、経済的困難が理由で精神的に追い詰められている選手がいること、劣悪な生活環境がプレー面や生活全般に影響を及ぼしていることを語った。その中で、エンゼルス傘下1A「インランド・エンパイア」に所属していたシェーン・ケルソー投手が経済面と生活環境が原因で6月末で引退したことにも触れている。

 ESPNの報道から2か月が過ぎたものの、状況はほとんど変わっていないようだ。球場で提供される食事が増えたことを除けば、居住する場所や給与、栄養管理などの問題は解決されていない。クルーズは今季、食事の問題で体重が12ポンド(約5.4キロ)落ちたという。今後、マイナーリーガーの待遇は見直されていくのだろうか。

(Full-Count編集部)

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