法大のスーパー1年・篠木健太郎が快投 プロ注目の超高校級投手が進学を選んだワケ

東大戦に先発した法大・篠木健太郎【写真:小林靖】
東大戦に先発した法大・篠木健太郎【写真:小林靖】

大学進学を選んだ理由「プロに行くのなら、1年目から結果を残したい」

 3年後の姿が今から楽しみだ。東京六大学リーグ戦は24日、明治神宮球場で2試合が行われ、第2試合では法大の1年生・篠木健太郎投手が東大戦でリーグ初先発。6回89球を投げ、5者連続を含む8三振を奪い、3安打無失点の快投を演じた。試合は0-0の引き分けに終わり、初勝利とはいかなかったが、昨年、プロ注目の超高校投手と騒がれた右腕がポテンシャルの片鱗を見せつけた。

 今季リリーフで2度登板していたが、リーグ戦での先発は初めて。「自分のフレッシュさで、攻撃にいい流れを持ってこれればと思いました」と言う通り、早いテンポで投げ込んだ。この日の最速は147キロにとどまったが、速球で押し込み、鋭く曲がるスライダーで空振りを取った。チェンジアップ、カーブ、カットボールも駆使し、東大打線に付け入る隙を与えなかった。加藤重雄監督は「調子自体は良くなかったと思うが、変化球を交えて0点に抑えてくれたのは大きな収穫」と目を細めた。

 木更津総合高3年の昨夏は、コロナ禍で甲子園への道が閉ざされた中、千葉県の独自大会で優勝する原動力になった。プロ志望届を提出すれば、上位指名は間違いないと見られていたが、法大進学を選択。その理由を「プロに行くのなら、1年目から結果を残したいと考えています。去年の時点で1年目から戦えるのかと聞かれれば、そうではないと思いました。この4年間で自分を見つめ直してから、プロの舞台へ行けるようにしたいと思います」と語るあたり、非常に意識が高い。

 法大進学後、今年の夏に早くも進化を遂げた。2段モーションで、いったん降ろしかけた左足を、つま先が天を向くほど高く跳ね上げるフォームへ改造。すると球速が最速155キロに達するまでにアップしたと言う。「もともと反動を使って投げるタイプだったので、自分の長所を生かせるようにと考えました。誰かのフォームを参考にしたり、真似をしたわけではなく、自分の感覚で投げやすいようにしました」とうなずく。

 法大では山下輝投手がヤクルトからドラフト1位指名、主将の三浦銀二投手がDeNAから4位指名を受けた。2枚看板が抜ける来季以降を見据え、加藤監督は「篠木にエースになってほしい。私は先発完投が投手の醍醐味だと考えているので、最後を誰かに任せるような、小さな投手にはなってほしくない」と言う。篠木も「監督さんの考えに沿えるように大きな投手になっていきたい」と応じる。

「彼には脚力もあり、身体能力が高い」と舌を巻く加藤監督は、その独特な投球フォームにも「最近は小ぢんまりしたフォームの投手が多いが、このままダイナミックに、気持ちも投球も大きく成長していってほしい」と目を細める。法大の大先輩にあたる江川卓氏のような、歴史に残る剛腕に育って欲しいものだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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