鷹・小久保2軍監督「成長を感じました」 4年目捕手・渡邉陸が見せたリードの変化

ソフトバンク・渡邉陸【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・渡邉陸【写真:藤浦一都】

「てっきりコーチの指示だと思っていたら、そうじゃなかった」

 ソフトバンクの2軍で“英才教育”を受けている渡邉陸捕手。10日にタマスタ筑後で行われたウエスタン・リーグの広島戦で小久保裕紀2軍監督が感じ取った成長があった。この日の先発は2年目の田上奏大投手。1軍デビューも果たした右腕をリードする上で、それが見えた。

 先発の田上は初回、いきなり宇草に二塁打を浴びると、野間に四球を与え、林の適時打で先制点を失った。小久保2軍監督は「今日はちょっと球数とイニング数をテーマに挙げていたんで、ちょっとやっぱり抑え気味で入った」と説明。5回、80球という球数、イニング数を意識するあまりに、出力を抑えていたという。

 そんな田上をリードする上で、ちょっとした変化を加えたのがコンビを組んでいた渡邉陸だった。小久保2軍監督は言う。「2回になったら、カーブをうまく使っていた。やっぱり真っ直ぐ、カット、フォークだけだと、同じ球速帯なんで結構キツいんです」。2回に入ると、カーブを配球に織りまぜ、緩急も使って投げさせるようになった。

 結果、田上は5回4失点だったものの、この2回からの投球パターンの変化に小久保2軍監督は渡邉の成長を感じたという。この配球の変化は小久保2軍監督はもとより、コーチ陣が指示を出したものではなかった。「僕はてっきりピッチングコーチか高谷(バッテリーコーチ)の指示だと思っていたら、そうじゃなかった。コーチに聞いて回ったけど、誰も指示してないと。コーチの指示なく、緩急のカーブを自分で入れたっていうところに成長を感じました。1回表で被って感じたんだろうな、と」と目を細めていた。

 4月29日からの阪神3連戦で初めてカード全試合でスタメンマスクを被った渡邉。これも小久保2軍監督が発案した“育成案”だった。「それは、どっちかと言えば、体力面、脳の消耗とか、体の消耗、甲斐拓也の全部出るすごさみたいなのを感じたんだと思うんです。それはそれで経験になったでしょう。あとは、ピッチャーを引き出す、あと城島が言っているゲームを支配する、いいタイミングの声かけだったりっていうのは結構意識してやっていますね」と、配球以外の面での成長も見て取れる。

 小久保2軍監督から大きな期待をかけられている4年目の渡邉陸。2軍での経験を糧に、一歩ずつ捕手としても確かな成長の跡を見せている。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)