長打力は柳田悠岐をも超える? 鷹ドラ4野村勇が示すパワーと首脳陣のアプローチ

ソフトバンク・野村勇【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・野村勇【写真:藤浦一都】

純粋な長打力を示す「ISO」は山川、村上、牧に次ぐ数字

 ソフトバンクの和田毅投手が日米通算150勝を達成した19日の楽天戦。41歳の大ベテランに貴重な先制点をプレゼントしたのは25歳のルーキー・野村勇内野手だった。初回無死一塁で左中間スタンドへ6号先制2ラン。「勇のホームランですごく気持ちを奮い立たせてもらったので『今日は絶対決めてやる』っていう気持ちで投げていました」と和田も勇気を貰う貴重な一発になった。

 ドラフト4位でNTT西日本から加入した野村勇。入団当初から俊足とパンチ力のあるバッティングが魅力とされていたが、前評判以上の働きを見せている。6本塁打は主砲の柳田悠岐外野手に次ぐ、チームで2番目の多さ。何より凄いのが、その打席数の少なさで、ここまでわずか95打席で6本のアーチをかけているのだ。

 打率は.238と粗さこそあるものの、純粋な長打力を示す「ISO」という指標では.288を残し、これは柳田やアルフレド・デスパイネ外野手らをも上回る。12球団で50打席以上立った選手の中でも、西武の山川穂高内野手、ヤクルトの村上宗隆内野手、DeNAの牧秀悟内野手に次ぐ4番目の高さと、そのパンチ力の高さを示す形となっている。

 身長は175センチとさほど高くないものの、肉体の強さはチーム随一だ。野村勇曰く「筋量は人よりも多いですし、測定ではほぼ上位」といい、身体能力はソフトバンクの中でも指折り。何度もチームを勝利を導いた俊足もそうだが、その身体に詰まったエンジンのポテンシャルは高いのだ。

「コーチの方々からは『当てにいかなくていい』『強く、持ち味を生かせ』と言われいます」

 ただ、打率が表すように、まだまだ粗さが目立つ。95打席で27三振。打席に占める三振の割合を示す「K%」は28.4%で、チーム内で50打席以上立った打者の中でワーストだ。ただ、首脳陣は長所であるパンチ力を生かすようにアプローチしており、野村勇は「当てに行ったら良さがなくなる。強く振れるところが強みでもあるので、コーチの方々からは『当てにいかなくていい』『強く、持ち味を生かせ』と言われいます」という。

 もちろん課題がないわけではない。コース別の打率を見れば、得意、不得意がハッキリと表れる。ヒットを打っているのは全て真ん中からアウトコースにかけてのボール。インコースの打率は.000と苦手にしている。投手の左右に対して、あまり差はないが、右打者のインコース攻めを得意とする投手には分が悪いようだ。

 走攻守において、チーム内で存在感を見せている野村勇。まだ粗さはあるものの、それ以上に魅力に溢れている。期待の若手がひしめくソフトバンクの内野陣。レギュラー獲りへアピールを続けていく。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)