1159日ぶり勝利の阪神・才木が独白 “手術に感謝”と言えるまでの2年半の葛藤

ヒーローインタビューで感極まる阪神・才木浩人【写真:共同通信社】
ヒーローインタビューで感極まる阪神・才木浩人【写真:共同通信社】

自分が見せるべき姿は怪我で落ち込んでいる表情、仕草ではない

 リハビリという言葉をどのように捉えるかで、怪我をした選手の真価が問われる。2020年11月に右肘のトミー・ジョン手術を受けた阪神・才木浩人投手が3日の中日戦(ナゴヤドーム)で1159日ぶりの白星を挙げた。先が見えない痛みとの戦い。その過酷さは本人しか知らない。生活に支障が出るほど、苦しかった。だが、周囲に心配をかけたくないと、感情は心の奥にしまっていた。今、心から言える。「すごく未来は明るいです」。約2年半に渡る才木の葛藤に迫った。【楢崎豊】

 目覚ましアラームの音よりも、肘に走る痛みが先に気になった。「朝起きると『今日も肘が痛い』と感じて1日が始まりました。寝る前も痛くて……。いつまでこの状態が続くんだろうと思いました」。体や精神面で「一番、しんどかった」のは手術を受ける前だった。

 兵庫・須磨翔風高時代は公立校の右腕として注目された。趣味は「トレーニングです」と公言するほど、時間があれば体と向き合う意識の高い球児だった。2016年にドラフト3位で阪神に入団。入団2年目で先発ローテに定着し、6勝をマーク。しかし、翌2019年5月頃から、右肘に違和感を覚えるようになった。

 最初は手術をせずに治療を受けながら痛みと向き合っていた。試合でなんとか投げることができたが、痛みは出た。状態が良くなったと思っても、また痛くなる――。検査をすると、右肘の内側側副靱帯の再建術が必要な状態にまでなっていた。

「ドアノブに手をかけて(ドアを)開けようとするだけで痛かったです。歯磨き、頭や顔を洗うときもそうでしたね。ふとしたときに頭をかいたりとかした時も痛みが出るので、油断できないというか、ずっと気を張っていないといけなかったです」

 1人で何もしない時間がとにかく嫌だった。気持ちが沈んでいくことがはっきりと自分自身で分かっていたから。寮の部屋では自然と笑顔は消えていた。「とりあえず、野球やトレーニングをしていないと頭がおかしくなりそうでした」。気付けば、トレーニングルームや治療部屋にこもって、体を無心で動かしていた。「なんとか気を紛らわせたかったんです」。チームメートやトレーナーがいれば、気落ちした姿を見せることはしない。いつも通り、明るく振る舞った。

“先輩”藤川球児からもアドバイスを…手術して得られたことは「1個や2個ではないです」

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