ボークにも動じず8回零封で8勝目 鷹・千賀滉大が見せたエースのピッチング

ソフトバンク・千賀滉大【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・千賀滉大【写真:藤浦一都】

試合後には「あれをボークと言われたら、今まで1000回くらいやってますよ」

 21日に本拠地・PayPayドームで行われた楽天戦で8勝目を挙げたソフトバンクの千賀滉大投手。8回を投げて4安打無失点と楽天打線を封じ込めた右腕だが、中盤に崩れかねない場面があった。6回無死一塁で一塁牽制の偽投がボークと判定されてピンチが広がった。藤本博史監督が審判に抗議する事態となったが、もちろん判定は覆らず。動揺してもおかしくない状況だったが、動じずに三振と併殺打でこのピンチを切り抜けた。

 6回のこと。千賀が一塁へ偽投した途端、三塁審判が大きく両手を上げてボークを宣告した。すぐにベンチから指揮官が出て行き、三塁塁審へ歩み寄って抗議した。しばしのインターバルを経て、無死二塁で試合は再開。銀次に四球を与えて無死一、二塁となったものの、浅村を空振り三振、続く島内を二ゴロ併殺打に打ち取り、この試合最大のピンチを切り抜けた。

 窮地を乗り切った千賀は8回無失点の力投で8勝目を挙げた。試合後にはボークについて「あれをボークと言われたら、僕は今まで1000回くらいボークやっていますよ。審判に確認してOKと言われたことをやっているので。今となってはどうでもいいですけど、どこがダメだったのか話は聞きに行きたいと思いました」と振り返る。

 ただ、ここで崩れなかったのは“さすが”といったところ。すぐに切り替えて「ツーベースを打たれたみたいな感じ」と割り切った。走者がたまって浅村を迎えた場面では「あそこは『一発だけは(打たれない)』と思いながらマウンドにいました。それだけでした」と、冷静にその時やるべきことを貫き通した。

 7回までに108球を投じていたものの、8回も自ら志願して続投した。前日は21被安打17失点で大敗し、中継ぎ投手も多く投げていた。前半戦最後の3連戦となる22日からのオリックス戦に向けて、チームとしてはリリーフを休ませたいところ。「昨日もたくさん(中継ぎが)投げていますし、1人でも増やすよりは明日からの3連戦を考えて、という感じだったので『じゃあ行きます』という感じで」と首脳陣の思いを汲み、125球で8回まで投げ切った。

 快勝で首位の座を守ったソフトバンク。「千賀がしっかり投げてくれて、点をやらないピッチング、絶対先に点やらないという気持ちが伝わった試合だったと思います」と、藤本監督も苦しい状況を救うエースの力投を称賛した。前半戦は残り3試合。首位を守って、折り返しを迎えたいところだ。

(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)