侍ジャパン初采配の強化試合で4連勝 3月WBCへ栗山監督が掴んだ手応えと課題

2022.11.14

栗山英樹監督率いる野球日本代表「侍ジャパン」は11月5日から「侍ジャパン強化試合2022」「侍ジャパンシリーズ2022」と題した強化試合4戦を行い、無傷の4勝で締めくくった。北海道日本ハム、読売、そしてオーストラリア代表との対戦の中で、来年3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けて、貴重な収穫と課題を手にした。

写真提供=Full-Count

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栗山監督が就任後初采配、4戦を通じて選手の適性をチェック

 栗山英樹監督率いる野球日本代表「侍ジャパン」は11月5日から「侍ジャパン強化試合2022」「侍ジャパンシリーズ2022」と題した強化試合4戦を行い、無傷の4勝で締めくくった。北海道日本ハム、読売、そしてオーストラリア代表との対戦の中で、来年3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)に向けて、貴重な収穫と課題を手にした。

 代表メンバー28選手のうち16選手が初選出というフレッシュな顔ぶれで臨んだ強化試合。5日の北海道日本ハム戦は5-4、6日の読売戦は8-4、9日のオーストラリア第1戦は8-1、10日のオーストラリア第2戦は9-0と4連勝を飾った。侍ジャパンでは初めて指揮を執った栗山監督にとって最も大きな手応えは、招集した全選手の実力と適性を確かめられたことだろう。全4戦で満遍なく選手を起用し、それぞれに一定程度の出場時間を与えた。

初選出16人のフレッシュなメンバーが投打に躍動

 打線では、史上最年少の3冠王に輝いた村上宗隆内野手(東京ヤクルト)が先発出場した3戦全てで豪快なホームランを披露。長打と打点が期待された岡本和真内野手(読売)、森友哉捕手(埼玉西武)、牧秀悟内野手(横浜DeNA)、山田哲人内野手(東京ヤクルト)らが要所で快音を響かせた。

 足でも魅せた。阪神の俊足コンビ、近本光司外野手と中野拓夢内野手や、東京ヤクルトのリーグ2連覇に貢献した塩見泰隆外野手、2020年パ・リーグ盗塁王の周東佑京内野手(福岡ソフトバンク)らが、一つ先の塁を狙う積極性を見せ、得点のチャンスを広げた。

 守備では、メンバーに正一塁手が1人もいなかったが、牧内野手と岡本内野手が本職と比べても遜色ない安定感でアピール。複数ポジションを守れる選手が多ければ多いほど、栗山監督が使える作戦の幅は広がる。

 投手陣は北海道日本ハム戦と読売戦こそ計8失点を許したが、オーストラリア戦では両日合わせて1失点のみ。第1戦の先発・今永昇太投手(横浜DeNA)はキレのある速球を軸に4回を10奪三振1失点、第2戦の先発・佐々木朗希投手(千葉ロッテ)は最速159キロの剛球で押して4回無失点の好投。第2先発として起用された戸郷翔征投手(読売)、高橋奎二投手(東京ヤクルト)も慣れない試合途中からの登板を意に介することなく、オーストラリア打線を圧倒した。

WBC公式球の扱いに苦慮する投手陣も…

 数多くの手応えを感じる一方、対処すべき課題も見えた。侍ジャパンの投手陣は全4戦を通じて、WBCの公式球を使用。メジャーリーグ公式球仕様で、ボールの大きさや縫い目の高さ、肌触りなどが、NPB統一試合球とは異なる。投手陣には事前にボールが配布され、調整する期間が設けられてはいたが、試合中にマウンドで首をひねる投手も散見された。4回無失点に抑えた佐々木投手も得意のフォークを操ることに苦慮。3回以降は普段よりも多くフォークを投げ、試合の中で調整していく様子がうかがえた。

 打線は特に試合終盤、オーストラリア投手陣の制球難による隙を突きながら加点したが、変則フォームにタイミングをずらされたり、手元で変化するボールに詰まらされたりする場面も。見えた課題は、さらに成長するための余白でもある。3月の本番では、投打ともにどこまで成長した姿を見せるのか楽しみが増えたとも言えるだろう。

選択肢が多く、悩ましいメンバー選考「覚悟してやっていきます」

 初選出が多いフレッシュなメンバーで戦った4戦を終え、栗山監督は「これだけのメンバーが揃っているので、いろんな展開、形があると思う」と大きな手応えを口にした。だが、今回の強化試合はシーズン終了後の11月開催ということもあり、疲労などのコンディションを考慮して招集が見送られた選手もいる。また、侍ジャパンの常連メンバーや海外組も選ばれなかった。

 WBC出場に意欲を見せる田中将大投手(東北楽天)のほか、二刀流で野球の歴史を塗り替えている大谷翔平投手(ロサンゼルス・エンゼルス)、WBC優勝経験を持つダルビッシュ有投手(サンディエゴ・パドレス)ら海外強豪チームのメンバーを熟知する選手たちなど、栗山監督に与えられた選択肢は豊富だ。

 注目されるWBCのメンバー選考について、指揮官は嬉しい悲鳴を上げる。

「相当、難しい感じがします。覚悟してやっていきます。最終的にはギリギリになると思いますけど、投手は準備が必要。12月のどこかで『準備してください』とボールを渡してあげる時間が必要なので。できるだけ早くした方がいいかなと思います」

 2023年3月9日、東京ドームが舞台となるWBC1次ラウンド初戦まで、あと4か月弱。悲願の3大会ぶり優勝を目指し、栗山監督が選ぶ最高の侍ジャパンに期待したい。


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