なぜ鷹・武田翔太は4勝で9000万円増? 4年総額6億円超の破格契約になったワケ
来季中に国内FA権取得の見込みで「市場価値を見込んで」
ソフトバンクの武田翔太投手が22日、PayPayドーム内の球団事務所で契約更改交渉を行い、今季から9000万円アップとなる年俸1億5000万円で4年契約を結んだ。年俸は変動制で、総額6億円超になる可能性もある大型契約に。今季4勝5敗に終わった右腕に対して、なぜホークスは破格の契約を提示したのだろうか。(金額は推定)
2011年のドラフト1位でソフトバンクに入団した武田は2015年、2016年には2年連続で2桁勝利をマーク。ただ、近年は不本意なシーズンが続き、今季も12試合に先発して4勝5敗、防御率2.68だった。前半戦途中から右手中指の痛みを抱えたままの投球が続き、その悪化に伴い、後半戦は1軍登板なしに終わっていた。
この成績での9000万円増、複数年契約は破格の好条件だが、この提示の背景には、武田が来季、国内FA権を取得する見込みであることが大きく関係している。武田は今季、1軍にフル登録されていれば、国内FA権を取得できる見込みだったが、後半戦のファーム暮らしでそれは来季まで延びることに。交渉後に報道陣に対応した三笠杉彦GMは「来年のFAを見込んで契約したというのが経緯です」と語った。
これまでもソフトバンクはFA権取得が翌年に迫る選手と複数年契約を結んできた。現役選手では、今宮健太や中村晃らがその例にあたる。三笠GMは「FA権の取得を見込んで契約する時は、FA権を行使したときにどれくらいの契約になるか市場価値を見込んで契約している。市場価値を検討して、これくらいの価値があるということだろう、ということです」と説明。来オフに武田がFA権を行使した際の市場価値を考慮しての契約になった。
ここ数年、不振が続いているものの、球団内での武田の能力への評価は高い。同GMも「1年目から活躍していて、まだ28歳。これからも主戦の1人として活躍してくれる投手として評価している。この先4年くらいはチームのローテを支えてくれる能力が十分にある、と評価している」と語る。破格の契約には、武田に対しての大きな期待と、国内FA権取得という要素が絡んでいた。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)