小柄でも「長打を打ちたい」 元阪神・上本博紀さんが伝えたい「意思が全てに繋がる」

阪神タイガースWomen監督・上本博紀さん【写真:橋本健吾】
阪神タイガースWomen監督・上本博紀さん【写真:橋本健吾】

上本さんは172センチの小柄な体でプロ通算698試合出場、30HRをマーク

 野球は身長が高い方が有利とは限らない。体格差がありながら第一線で活躍したのが、元阪神の上本博紀さん。身長172センチとプロ野球の世界では小柄な部類に入るが、「後悔するのが嫌だった」と自らの信念を貫き伝統あるタイガースで12年間プレーした。

 スポーツの世界では一般的に、恵まれた体格の選手が有利とされている。身長172センチ、体重64キロの上本氏は度重なる怪我に見舞われながらも、全力プレーでNPB通算698試合に出場。パンチ力ある打撃も魅力で、2017年に打率.284、9本塁打38打点をマークするなど、規定打席にも3度到達した。

 上本さんは「これは子どもたちには真似してほしくない」と前置きした上で、現役時代は「潰れてもいいから全力でやることを意識していました」と語る。さらに「普通にやっても勝てない。相手が70%の力を出しているなら、こっちは100%でようやく勝負になるイメージでした」と続けた。

 アマチュア時代、指導者からは「小柄=本塁打を打てない」とマイナスイメージを持たれていたという。だが、上本さんは「強い打球、長打も打ちたいとずっと思っていた。『バットを短く持って、当てていけ。お前はホームランを打てない』。この言葉に反発してやっていました。自分がすぐにクビになっても後悔はなかった」と、信念を曲げずに努力を続けた。

 俊足を生かしつつ、強い打球を求めた。小技を駆使しながらも、典型的な“2番タイプ”になるのを拒んだ。その結果、プロ通算30本塁打を記録した。

 引退後は小学軟式の「阪神タイガースJr.」、今年からは女子硬式「阪神タイガースWomen」の監督を務めている。選手にかける言葉は「一番は自分がどうしたいか。自分の意思が大事です。人のせいにする、何かのせいにすると後悔しか残らない。自分の意思が全てにつながります」。固定観念にとらわれない指導で、選手の成長を見守っている。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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