21歳剛腕に0勝3敗も…西武・松井監督が感じた手応え 攻略のカギ握る“キラー”
“勝負手”のバスターエンドランは空振り「思い切ってサインを出しました」
■オリックス 2ー1 西武(5日・ベルーナドーム)
西武は5日のオリックス戦(ベルーナドーム)に1-2で競り負け、連勝が3で止まり8月初黒星を喫した。21歳の相手先発・山下舜平大投手に、リーグ2位の今季9勝目を献上。西武は山下と今季4度対戦し0勝3敗、対戦防御率0.69(26イニング、2自責点)に抑え込まれているが、松井稼頭央監督は「得点は1点でしたが、非常に粘りのある攻撃ができていた」と手応えを口にし、進境著しい若手へのリベンジを誓った。
西武打線は1点ビハインドで迎えた5回、1死二塁のチャンスに、来日1年目のマーク・ペイトン外野手が山下の125キロのカーブをとらえ、右翼線へ同点適時二塁打。続く源田壮亮内野手も、インハイの155キロ速球に詰まらされながら右前へ運んだが、本塁へ突入した二塁走者・ペイトンが、右翼に就いていた廣岡大志内野手の好返球に刺されタッチアウト。勝ち越しには至らなかった。
逆に1点を勝ち越されて迎えた7回の攻撃では、先頭の岸潤一郎外野手が死球で出塁すると、続く古賀悠斗捕手のカウント0-1からの2球目に、バスターエンドランを敢行。しかし、古賀は外角低めのボール球の152キロ速球を空振りし、スタートを切っていた岸は二塁で刺された。松井監督は「あそこは勝負をかけたところで、思い切ってサインを出しました。こちらが出したサインなので、僕の責任です」と潔かった。
西武はこの回、さらに古賀がしぶとく三塁内野安打で出塁し、2死一塁となったところで、山下をマウンドから引きずりおろしたのだが、相手のリリーフ陣を打ち崩せず、試合をモノにすることはできなかった。
高卒3年目の山下が今年3月31日、2リーグ制以降で史上初めて、シーズン開幕戦でプロ初登板初先発を飾った時の相手が西武だった。この時の山下は5回1/3を1失点で勝ち負けが付かなかったが、続く4月23日の対戦で7回無失点、5月5日の対戦でも7回無失点に抑え込んでいる。
外崎が2安打…いずれも155キロの速球を捉えた
結局、西武は4度目の対戦でも山下に黒星を付けることができず3連敗となったが、1点も取れなかった過去2回に比べ、攻略の足がかりをつくったのは確か。松井監督は「あれだけの投手ですから、得点するのは難しいところがある。それ以上に、(西武の各打者は)しっかり対応してくれていたと思います」と前向きで、次回でのリベンジを期した。
チームで山下に一番タイミングが合っているのは誰かと言えば、この日「5番・二塁」で先発した外崎修汰内野手だ。2回先頭での第1打席は、カーブ2球でカウント0-2と追い込まれながら、3球目の高めの155キロ速球を中前打。4回1死走者なしでの第2打席も、内角高めの155キロ速球を左前へ打ち返した。山下に対し今季11打数5安打、対戦打率.455の“舜平大キラー”ぶりである。
山下はフォーク、カーブも駆使するが、やはり外崎のように、軸となる剛速球に押されないことが攻略の条件なのかもしれない。外崎はストレートをとらえた2安打を振り返り、「割り切っていきました。必死にいったら、ああなりました」と笑った。一方、山下は、6回1死での第3打席では、7球全て変化球で攻めてきた。外崎は最後にカウント2-2から内角低めのフォークを振らされ三振。「そこは駆け引きなので……」と苦笑しつつ、「(山下は)球が強いし、変化球もいい。いいピッチャーだなと思います」と評した。
リーグ5位ながら上昇気配を見せている西武。首位オリックスとの差を詰めていくためにも、21歳の若武者にやられっ放しではいられない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)