髪型は7年前と大きく変わっても… 2軍落ち経て復活、西武右腕が夏に見せる無双

オリックス戦に登板した西武・今井達也【写真:矢口亨】
オリックス戦に登板した西武・今井達也【写真:矢口亨】

今井が8回125球熱投…松井監督「本人の志願もありました」

■オリックス 2ー1 西武(5日・ベルーナドーム)

 猛暑の中で、西武・今井達也投手が一皮むけた投球を続けている。7月は4戦3勝0敗、防御率0.62(29イニング2自責点)の無双ぶり。8月最初の登板となった5日のオリックス戦(ベルーナドーム)では、打線の援護に恵まれず今季3敗目(6勝)を喫したが、8回125球の熱投で6安打10奪三振2失点に抑えた。

 立ち上がりから“ロケットスタート”を切った。初回に廣岡大志内野手、茶野篤政外野手、紅林弘太郎内野手を3者三振。いずれも最速156キロを計測したストレート主体で追い込み、最後は変化球(スライダー、チェンジアップ)を振らせた。この3人からは、6回にもう1度3者三振を奪った。

 5回には、先頭の頓宮裕真捕手に左翼席上段へ先制13号ソロを被弾。初球のスライダーが真ん中に入ったところを、見逃してはもらえなかった。「初球からストライクを取りにいってしまいました。反省すべき1球でした」と、この試合唯一の後悔となった。

 1-1の同点で迎えた7回には2死一、三塁のピンチで、若月健矢捕手をカウント0-2と追い込みながら、152キロ速球が真ん中に入ったところを右前適時打され勝ち越しを許す。この回を終えた時点で投球数は113に達したが、続く8回も志願の続投。3者凡退で締め、今季2番目に多い125球でマウンドを降りた。

 松井稼頭央監督は「本人の志願もありましたし、投げる体力はある。8回まで投げ切ってもらえると、チームにとって大きい」と称える。疲労が出やすい夏場に、リリーフ陣の負担を軽減した意義は非常に大きい。今井自身「最低限の仕事はできたかなと思います」と納得のコメントを残した。

「自主トレからやってきたことをシーズンを通していいものに」

 振り返れば、5月には9日のロッテ戦で7回途中6失点KO、24日の同カードで2回8失点KOと炎上し、出場選手登録抹消。その後2軍での調整は1か月以上に及んだが、7月4日の1軍復帰とともに夏の快進撃が始まった。ただ、右腕は「(2軍調整中に)それほど変えたことはない。長い時間をかけて作っているものを、より完成度の高いものにすることだけを考えて、トレーニングや技術的な練習をしています」と強調する。

 今年1月には、メッツ・千賀滉大投手や巨人・菅野智之投手らが師事するアスリートコンサルタントの鴻江寿治氏の合同自主トレに、チームメートの隅田知一郎投手、大曲錬投手とともに初参加した。「自主トレからやってきたことを、シーズンを通していいものにしていきたいと、隅田たちとよく話しています。今は自分がやりたいことができれば、おのずと結果がついてきている状況です」と、長期間にわたる取り組みに手応えを感じている。

 とは言え、酷暑の中で調子を上げてくるあたりはさすが、2016年の夏に栃木・作新学院高を全国制覇に導いた甲子園優勝投手だ。今年の夏の甲子園も6日に開幕した。ヘアスタイルこそ、後ろ髪たなびくロン毛に変わったが、やはり今井にはこの季節がよく似合う。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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