「200球投げても疲労を感じない」 月間MVPを初受賞…西武・今井達也の止まらぬ進化
1か月以上の2軍調整後、見違えるような姿で復帰
7月の「大樹生命月間MVP賞」が9日に発表され、パ・リーグ投手部門では西武・今井達也投手が初受賞した。7月は4試合に先発し3勝0敗、防御率0.62(29回を自責2)をマークした。パの打者は楽天・浅村栄斗内野手が5度目、セは投手が巨人・山崎伊織投手、打者は中日・岡林勇希外野手がそれぞれ初受賞した。
今井は見違えるような姿で戻ってきた。5月24日のロッテ戦(ZOZOマリン)では、3本塁打を浴びて2回8失点KOを喫し、2日後に出場選手登録を抹消され、2軍での調整は1か月以上に及んだ。しかし、7月4日の1軍復帰戦では屈辱のZOZOマリンでロッテに8回1安打無失点の快投(勝ち負けは付かず)。その後、7月の3度の先発で全勝した。
2軍での調整をきっかけに「1試合の勝敗にそれほど執着しなくなったと言いますか、先発投手の本来の仕事というものを見つめ直しました」と明かす。1軍復帰戦もそうだったが、たとえ投手が0点に抑えても、打線が点を取らない限り試合には勝てない。
「投手が試合を決定づけることは難しいですが、チームが負けないように試合を作ることが、先発の役割ではないかと。自分を客観視できるようになり、自分で自分を評価できるようになりました」
昨年との違いは「終盤に平均152~153キロを出せるところ」
技術、スタミナに関しては「自主トレからやってきたことがどんどん自分のものになってきていると、投げながら感じました」と、かつてなかったほどの手応えを得ている。昨年オフには千賀滉大投手、菅野智之投手、上野由岐子投手らを指導するアスリートコンサルタントの鴻江寿治氏が主宰する合宿に初めて参加した。
「自分の体の癖を生かしていくという理論なのですが、お陰で今年は100球投げても200球投げても、疲労を感じなくなりました」。
8月最初の登板となった5日のオリックス戦(ベルーナドーム)も1-2で敗れはしたが、8回125球2失点の好投で、123球目のストレートが153キロを計測した。
「昨年まではイニングを重ねていくと、だんだん真っすぐのスピードが落ちていくことが球場のスピードガンを見ていてわかったのですが、今年は7回になっても平均152~153キロを出せているところが大きく違います。それでいて登板翌日も体が張っていなくて、体を効率的に無駄なく使えていると感じます」
年齢が近い、同僚の高橋光成投手、平良海人投手らと競い合いながら投手陣を牽引。今季6勝3敗、防御率2.68(8日現在)の今井には“10勝”はもはや通過点だろう。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)