過去の例が示す“楽天の逆襲” 全4球団が達成した「2冠」…長期低迷を止める劇薬

楽天・今江敏晃監督【写真:荒川祐史】
楽天・今江敏晃監督【写真:荒川祐史】

全体の半数近い割合のチームが、交流戦とシーズンの“2冠”を達成

 楽天が、球団創設20年目にして初の交流戦優勝を果たした。パ・リーグでは過去にロッテ、日本ハム、ソフトバンク、オリックスが優勝しており、5球団目の王者が誕生したことになる。では、交流戦で優勝した球団が最終的にレギュラーシーズンで残した成績は、いったいどのようなものだったのだろうか。

 2023年までにパ・リーグの球団が優勝した回数は13度。そのうち半数近くの6チームが同年にリーグ優勝を果たしている。また、交流戦優勝を果たした年にAクラスに入ったケースは実に9度と、リーグ戦でも好成績を収めた例が多い。

 とりわけ、2011年以降における7つの優勝チームのうち6チームが1位か2位と、近年に入ってからはより成功例が多くなっている。その大半が黄金期を迎えていたソフトバンクだったという点は勘案する必要がありそうだが、2021年のオリックスも同様の傾向を見せ、見事にリーグ優勝を飾っている点は興味深い。

 パ・リーグで交流戦優勝を果たした経験を持つのは、ロッテ、日本ハム、ソフトバンク、オリックス。そして、この4球団はいずれも、交流戦で優勝した年にリーグ優勝を果たす“シーズン2冠”を達成している点も特筆すべきだ。

長年苦しんでいたチームを、タイトルが大いに勢いづけた例も複数存在

 さらに、2005年のロッテは31年ぶり、2021年のオリックスは25年ぶりと、交流戦での好成績が久々のリーグ優勝につながった例も存在する。こうした成功例は、長きにわたって優勝から遠ざかっていた球団にとっては、交流戦の結果が大いにチームを勢いづけることもあるという事実を示すものでもあるだろう。

 また、交流戦の試合数が現在よりも多かった2014年以前は、レギュラーシーズンに及ぼす影響が今以上に大きかったと考えるのが自然だろう。しかし、2015年以降の交流戦優勝チームも全て1位か2位に入っているという事実は、試合数が減った現在においても、大きな影響を与えていることの証左となっている。

 パ・リーグの球団としては3年ぶりの優勝を飾った楽天も、残るシーズンでさらなる躍進を遂げる可能性は大いにありそうだ。若き指揮官が率いるチームが、球団史上初となる交流戦のタイトルを得たことによってさらなる成長を見せるか。レギュラーシーズン再開後の戦いぶりには、要注目となることだろう。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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