首脳陣も「想定外」の事態…試される“新星の力” 逸材には「大きなチャンス」
オリックス・厚澤コーチ、離脱者“続出”も「戦力が劣っているということはありません」
オリックスは開幕直後から、主力投手らの離脱が相次いだ。ただ、厚澤和幸投手コーチは「若い投手には大きなチャンスになります」と前向きな言葉で選手たちの背中を押している。6月には高卒2年目で3日の楽天戦(盛岡)に先発予定の齋藤響介投手、育成5年目で今季を迎え支配下選手登録を勝ち取った佐藤一磨投手が2日連続してプロ初勝利を挙げるなど、若手や新戦力の躍進が続いている。
「これだけ離脱者がいるシーズンはなかなかありませんが、それによってチャンスが出てくるピッチャーも必ずいます」。山本由伸投手、山崎福也投手の先発ローテーション投手が2人、チームを去った今季、その穴を埋めてくれると期待を寄せていた。ただ、巡ってきたチャンスに故障で戦列を離れることの多い投手陣を預かる厚澤コーチは力強く語った。
6、7月は、その言葉通りの展開が続きオリックスは4連覇に向けてペナントレースを踏みとどまっている。6月1日の中日戦(京セラドーム)から僅差で3連敗はしたものの、5日から7連勝。8日の巨人戦(東京ドーム)は高卒2年目の齋藤が先発し、5回を86球1安打6奪三振無失点でプロ初勝利を挙げ、続く9日には同じカードで高卒5年目の佐藤が「初登板、初先発、初勝利」をやってのけた。
齋藤は盛岡中央高から2022年ドラフト3位で入団。新人だった昨季は2軍で11試合に登板し1勝2敗。1軍ではシーズン終盤に1試合に登板しただけだった。一方の佐藤は横浜隼人高から2019年育成ドラフト1位で入団した左腕で、登板前日の6月8日に、育成5年目で支配下選手登録入りしたばかり。ともに昨季は1軍の戦力にはほぼなっていなかった投手が、チームの危機を救うことになった。
昨季、1勝2敗のドラフト1位左腕、曽谷龍平投手も今季ここまで5勝(3敗)を挙げ、先発ローテーションを守っているほか、社会人出身の新人、古田島成龍投手(日本通運)は22試合連続無失点記録を達成。高島泰都投手(王子製紙)も先発、中継ぎでチームの勝利に貢献している。現役ドラフトで中日から移籍した鈴木博志投手や交換トレードで日本ハムから移籍した吉田輝星投手の活躍が頼もしい。現在は腰痛の影響もある2軍調整を続けるが、日本ハムを戦力外となり育成契約を結んだ後、支配下選手登録を掴んだ井口和朋投手ら、新しい戦力もブルペン陣を支えている。
厚澤コーチは「想定外の離脱者も多いのですが、だからといって戦力が劣っているということはありません。今日のベスト布陣を組んで、ベストなゲームをして勝ち切るということを、引き続きやっていきます」。と、1、2軍の枠を超えた首脳陣のローテーションなど、チームの変化に合わせた臨機応変の心意気。見事にピンチをチャンスに変えている。
(北野正樹 / Masaki Kitano)