2度のTJ手術「野球をやりたくない」 空白の4年間…オリ新助っ人が選んだ異国での挑戦
オリックス・新助っ人のエスピノーザ「一時期は『野球をやりたくない』と思ったことも」
苦しい時期を知っているからこそ、異国の地でのプレーを楽しめる。オリックスの新助っ人、アンダーソン・エスピノーザ投手が、開幕から先発ローテーションの座を守っている。球宴にも監督推薦での出場が決まった右腕は「すごく楽しんでいます。まずは自分が怪我なく(プレー)できていることに喜びを感じています。日本に来て大好きな野球ができて幸せです」と白い歯を見せる。
来日1年目の今季はここまで13試合に出場して7勝4敗、防御率2.24の成績を残している。日本のプロ野球は「アメージング! 日本は野球人気が高くて、ファンも3万人くらい毎日来てくれて……すごく驚きがいっぱいです」と陽気な笑顔で語る。
ハツラツとプレーできる喜びを知っている。エスピノーザはベネズエラ出身。2014年にレッドソックスと契約すると、当初は1Aで実績を積んだ。2016年にパドレスに移籍するも、2017年以降に2度の右肘トミー・ジョン手術を敢行した。
1度でも大変なトミー・ジョン手術を2度も行い「すごく憂鬱な気分でした。感情は全く良くなかったです。一時期は『野球をやりたくない』と思ったこともありました。でも、家族に支えてもらって……。パワーをもらって、野球を続けていけるようになりました。だから今、オリックスでプレーできています」と当時を振り返る。
実戦マウンドからは4年間、遠ざかった。「心理学と向き合った時期もあります。講義を受講していました。『また野球をやるんだ!』とか『メジャーの舞台でデビューしてやるんだ!』と強く思っていましたね」。2021年5月、マウンドに戻ったエスピノーザは野球の楽しさを思い出したという。
復活を信じた右腕は昨年、日本行きを決意した。「アメリカでも何個かオファーはあったんですけど、全てマイナー契約でした。そこで考えたのが日本に来るという選択。怪我明けで登板もない状態だったので、マイナーの契約ではなく新しい自分を見せるために、新しい世界に飛び込みました」。背中を押したのは中嶋聡監督の存在だった。
パドレス時代に面識があり、中垣征一郎巡回ヘッドコーチからはトレーニングの指導を受けたこともあった。来日前から、首脳陣とは信頼関係で結ばれていた。「すごく温かく、期待されているなと感じます」。熱い思いに応えるため、どんな困難も乗り越えられる。
(真柴健 / Ken Mashiba)