現役ドラフトで掴んだ“自分の居場所” 緊急時も動じない27歳右腕「黙って投げて抑えて」
オリックス・鈴木博志「すま〜ん! ちょっとヒヤヒヤさせたわ…!」
新天地で奮闘する27歳右腕から、目が離せない。昨オフに現役ドラフトでオリックスに加入した鈴木博志投手が、ブルペン陣に欠かせない存在となっている。「マウンドに上がって『ガァッ』と気持ちを入れるのも大切ですけど、今年は冷静に考えながら落ち着いて投げられています」。蓄えた顎髭がたくましく映える。
鈴木は2017年ドラフト1位でヤマハから中日に入団。新人年からクローザーを任されるなど、6年間を過ごして昨オフにオリックスへ移籍した。新天地での躍動には「腕が振れているのが1番かなと思います」と力を込める。
開幕は2軍スタートだったが、5月21日に1軍に昇格。今季ここまで19試合に登板して0勝0敗6ホールド、防御率1.75の成績を残している。8日の西武戦(京セラドーム)では1点リードの6回から2番手で救援登板。ピンチを作るも2回40球1安打無失点の投球で、高島泰都投手のプロ初勝利を“アシスト”した。
7回2死一、二塁のピンチで野村から空振り三振を奪うと、笑顔でベンチに戻った。高島に「すま〜ん! ちょっとヒヤヒヤさせたわ……!」と言葉を掛けると「ナイスピッチです!」と言葉が返ってきたのがうれしかった。
40球を投じるマウンドにも「今年、ファームで先発もしていましたし、問題はありません。自分の仕事だと思って臨んでいます。(役割が)どこだからといって気持ちが変わることはありません。1軍でチャンスをもらっているので、言われたところで。黙って投げて抑えて……ベンチに戻ることを心掛けています」と目を細める。
2021年から3連覇を果たしたチームは今季5位にとどまっているが、ブルペン陣では「ワンチームで勝とう!」が合言葉。「イニングの途中で交代しても、次のピッチャーがしっかりカバーしてくれる環境です。みんなで勝ちに向かって進めています。(新天地は)自分の持っている力が出しやすいのかなと感じています」と力を合わせる。
緊急時にも頼れる存在になっている。5月26日の西武戦(ベルーナドーム)では投手陣にアクシデントが発生し、移籍後2試合目の登板にして急遽先発を任された。「(先発は)あると思っていました。自分で勝手にですけど(笑)。長いイニングを投げられるのは自分だと思っていましたから」。突然の出番も、3回2安打無失点。どんな時も動じない心が強みになっている。
(真柴健 / Ken Mashiba)