打撃好調、西野真弘「自分に言い聞かせて」 34歳が奮闘する理由…「今しかない」

オリックス・西野真弘【写真:北野正樹】
オリックス・西野真弘【写真:北野正樹】

オリックス・西野真弘「今しかないと思ってやっているだけです」

 試合に出られる喜びを活力に、オリックスの西野真弘内野手が攻守で躍動を続けている。「『必死にやるだけ』と、ここまで自分に言い聞かせてきました。だから、特別こうしようというのはありません。今しかないと思ってやっているだけです」。8月2日に34回目のバースデーを迎えたプロ10年目の西野が、新人選手のように声を弾ませた。

 西野は東海大浦安高、国際武道大、JR東日本を経て、2014年のドラフト7位でオリックスに入団。巧みなバットコントロールと堅守でプロ2年目の2016年には全143試合に出場した。2017年も100試合に出場したが、その後は怪我に苦しむシーズンが目立った。

 プロ10年目の今季、2年連続となる開幕スタメンで起用された。4月中旬と7月初旬の2度、走塁中に右太もも裏を痛めて1軍選手登録を外れたが、幾度となく復帰を果たし、試合出場を続けている。

 規定打席には届いていないが、4月18日以降は打率3割以上をキープし続けている。それでも、西野は冷静だ。「打点や本塁打なら積み重ねた1が『0』になることはありませんが、打率は気を抜けばすぐに変動してしまいます。数字が目に入ってしまうこともありますが、数字を気にせず……。今できることをしっかりとやることだけを考えています」と静かに語る。

 数字を追いかけない理由がある。「試合に出ることができなかった時を経験していますから、試合に出してもらっているという思いが強いんです。だから必死にやるだけと、自分に言い聞かせているんです」。1打席の重み、打席に立てない悔しさを知るからこそ、一喜一憂することなく、自分の役目を果たす。
 
 クライマックス・シリーズ進出に向け熾烈な戦いが続く中で「最低限、もう(怪我で)離脱したくないんです」とはいうものの、怪我を恐れてはいない。「必死にやり過ぎた怪我が結構多いんです。怪我をしたくはないんですが、(一生懸命のプレーを)やるからには、という気持ちは常に持っています」。西野にしかできない全力プレーで、チームに勢いをつける。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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