3連覇は“ご祝儀相場”? V逸の今季に伸びた成績…心待ちの公正な審判「数字は残せた」

オリックス・若月健矢(中央)【写真:北野正樹】
オリックス・若月健矢(中央)【写真:北野正樹】

オリックス・若月健矢が狙う“勲章”

 名実ともにナンバーワン捕手を目指す。今季、パ・リーグトップの盗塁阻止率を記録したオリックスの若月健矢捕手が、2年連続の「三井ゴールデン・グラブ(GG)賞」の受賞に意欲を示している。

「去年の阻止率が特別に悪いのかと言われたら、そんな気はしないのですが、優勝したから(記者投票で)獲らせてもらったっていうのがあったと思います。だから、今年は優勝できなかったけれどGG賞は獲りたいと思ってやってきました」

 4年ぶりに本格的な秋季練習が行われている大阪・舞洲の球団施設で、若月が静かに口を開いた。昨季は記者投票による選考で6年連続して選出されてきたソフトバンクの甲斐拓也捕手を37票差で破り、プロ入り10年目で初めての個人タイトルを獲得した。昨季は92試合出場でリーグトップの守備率.997を評価されたものだが、盗塁阻止率は、リーグ6位の.293。若月は、リーグ3連覇に貢献したという“ご祝儀相場”が選考で有利に働いたのではないかと、受賞を謙虚に受け止めた。

 盗塁阻止にはクイック投球や牽制など、投手の協力が不可欠。「バッテリーの共同作業。捕手だけで盗塁を防げるものではありません」と投手に感謝しつつ、GG賞にふさわしい数字を残すために、自ら研鑽を重ねた。

 最も大きな変化は「焦らなくなったこと」だという。例年、各チームの捕手の送球データを取り寄せて参考にするとともに、捕球から送球までの無駄な動きを削ぎ落す作業を繰り返してきた。

「今年は、動きを速くしようと思わなくなりました。そこを追求するのがベストなのですが、焦ることなく自分の動作の再現性を高めることに取り組んだことで、ある程度のところにボールは投げられたし、タイムで勝負になったと思います」と明かす。

 はやる気持ちを抑えることでプレーに余裕が生まれ、送球に確実性も増した。その結果、盗塁阻止率は.474と大幅に改善され、2位の日本ハム・田宮裕涼捕手(.367)に大差をつけシーズンを終えた。チームの成績にかかわらず記者投票で受賞すれば、残した数字で評価されたことになるだけに、どんな“審判”が下るのか。「みなさんに納得してもらえるような数字は残せたと思います」。名実ともに“一流の捕手”へ、若月は発表の日を心待ちにしている。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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