オリ32歳が悔やむ“苦い経験”「全てが裏目に」 貢献できずV逸…「充実感はありません」

オリックス・阿部翔太【写真:北野正樹】
オリックス・阿部翔太【写真:北野正樹】

阿部翔太、4連覇を逃した1年に「勝たないと充実感はありません」

 はやる気持ちを抑えてオフを過ごす。オリックス・阿部翔太投手が、ハードに鍛え過ぎた自主トレを見直し、来季を見据えている。「(今年は)何もできなかった1年でした。やること全てが裏目に出た感じ。年齢も年齢なので、自分の体と向き合ってトレーニングをしたいと考えています」。長いファーム暮らしを思わせる日焼けした顔から、トレードマークのえくぼが消えた。

 阿部は日本生命から2020年ドラフト6位でオリックスに入団。28歳でプロの扉を開いたオールドルーキーは、セットアッパーとしてプロ2年目に44試合に登板。22ホールドを挙げ、リーグ連覇と日本一に貢献。2023年も49試合に登板し、3連覇を支えた。

 しかし、プロ4年目の今季は15試合登板、投球回数は14回2/3にとどまってしまった。2年連続して日本シリーズまで戦うという過酷なスケジュールによる“勤続疲労”に加え、阿部はオフ期間の調整の失敗を不振の要因に挙げる。

「(勤続疲労も)あるかもしれないですが、この2年間はシーズンを終えてすぐに来年に向けてのトレーニングをやり過ぎたのかなと思っています。疲れを取る時期に充てるべきだったのかな、と。長くこの世界にいる人はそういうようにやっていると思うのですが、僕はもう、突っ走ることしかできなかったんです」

 2年連続してシーズンで結果を残せただけに、同じように鍛えたのだったが、やはり体のどこかに無理が生じてしまった。オープン戦初登板となった3月5日の中日戦(京セラドーム)で1回を27球、被安打6で5失点。「今シーズンはキャンプやオープン戦への入り方が悪くなってしまいました。焦りじゃないのですが、全てうまくいかなかった感じでした」と振り返る。4月9日に1軍昇格したが本来の調子には遠く、6月3日に登録を抹消され、9月30日の再登録まで3か月を要した。

「よくなってきたな、と思ったら……」と悔やんだのは、7月初旬の下半身のコンディション不良だった。再びマウンドに立つまで1か月もかかってしまった。「今季はコンディション不良の選手が多かった。僕も含めて(オフの過ごし方などを)経験していなかったことが多かったと思います。がむしゃらにやればいいという問題ではありません。今、肩や肘に問題はありませんから、練習を計画的に立ててしっかりとキャンプに合わせることができれば、チームの力になれると感じています。勝たないと充実感はありません」。

 主将制度が復活したチームで、投手陣のキャプテンを託された。「1軍にいないと引っ張っていけないので、より責任が生まれ引き締まる思いです」苦い経験を生かし、熱く静かにオフを過ごす。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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