鈴木博志が履くシューズに深い意味 現役ドラフトでプレゼント…古巣の愛情に「恩返し」

オリックス・鈴木博志【写真:北野正樹】
オリックス・鈴木博志【写真:北野正樹】

鈴木博志の“足元”に感じる古巣からの愛情

 身体能力の維持は足元からだった。昨オフに中日から現役ドラフトで移籍し、中継ぎで存在感を示したオリックス・鈴木博志投手が、中日・落合英二2軍投手兼育成コーチ(来季から2軍監督)から贈られたランニングシューズで、トレーニングに励んでいる。

「『お前には何もいい思いをさせてやれなかったからなあ』と、自分の名前が入ったシューズをいただいたんです。チームを離れたのに、そう言ってもらえてありがたかったですね」。鈴木が感慨深げにその場面を振り返った。

 今年3月初旬、2軍の春季教育リーグの中日戦で訪れたナゴヤ球場での出来事だった。出会った落合コーチが「eiji77」と刺?が入ったランニングシューズをそっと鈴木に手渡した。使い込んだ鈴木の足元を見ての行動だったのだろう。落合コーチとは2022年から1軍ヘッド兼投手コーチに就任した2年間しか接点はなかったが「試合で名古屋に来れば、いつでもプレゼントするよ」という言葉に、胸が熱くなった。

中日・落合英二コーチから贈られたランニングシューズ【写真:北野正樹】
中日・落合英二コーチから贈られたランニングシューズ【写真:北野正樹】

 鈴木は磐田東高、ヤマハから2017年ドラフト1位で中日入り。1年目に53試合に登板し4勝6敗12ホールドと活躍したものの、故障などもあり出場機会が減り、2023年の現役ドラフトでオリックスに移籍した。新天地では入団1年目の2018年の53試合に次ぐ、32試合に登板。1勝1敗9ホールド、防御率2.97でブルペン陣を支えた。

「この1年間、雨の日を除いてずっといただいたシューズで過ごしました」という鈴木。落合コーチは交流戦後の7月26日に配置転換で1軍の投手兼育成コーチとなり、鈴木も5月21日からシーズン終盤までほぼ1軍で過ごしたため、その後に会う機会はなかった。

 落合コーチは、来季から中日の2軍監督に就任することになった。「僕から何か言うのはおこがましくて……」と控え目な鈴木だが「落合さんと2軍で会わないことが、恩返しになりますね」。移籍2年目も1軍の戦力としてオリックスのブルペンを支え続ける。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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