週刊誌で発覚したルール違反 自宅謹慎→1軍呼ばれず戦力外…乙坂智の後悔「失望させた」

DeNA時代の乙坂智氏【写真:荒川祐史】
DeNA時代の乙坂智氏【写真:荒川祐史】

元DeNAの乙坂智はシーズン中にチームのルールを破ってしまった

 元DeNAの乙坂智外野手は2021年オフに戦力外通告を受け、10年所属したベイスターズとの別れを告げることとなった。同年は17試合の出場に終わったが、プレー以外での行動で「皆さまを失望させてしまった」と今でも強い後悔の念を抱いている。

「2021年はキャンプ前から危機感がありました。2019年は4月の終わりから1軍、2020年はずっと1軍でしたが、2021年から三浦監督に代わってキャンプは2軍スタートになりました。若い選手も伸びているし、今年が勝負だなという感じでした」

 開幕2軍スタートとなったが4月25日に出場選手登録。いきなりその日の試合で4打数2安打、1四球と結果を残した。次の試合もスタメン起用されたが4打数無安打に終わると「そこからスタメンがなくなって、ずっと代打になりました」。代打や守備固め要員としてベンチを温める日々。そのまま5月28日に2軍行きを通達された。そして6月12日のイースタン・リーグの試合で、左足への死球で負傷離脱し実戦から遠ざかった。

「今、思うと精神状態はよくなかったです。自暴自棄になってしまいました」

 当時はコロナ禍で、不要不急の外出及び外食を禁止されていたのだが、都内の飲食店に出かけていたことを週刊誌に報じられた。約2週間の自宅謹慎と厳重注意の処分を受けた。

「ルールを破ってしまい、みんなに迷惑をかけるとか、そこまで考えられませんでした。チームプレーだし、コロナも流行っていた。自分の身勝手な行動でチームメートや関係者、ファンの皆さまを失望させてしまった。とても申し訳なく思っています。ベイスターズでの10年間で1番後悔しています」

DeNAには「いい経験をたくさんさせていただいた」

 処分は2週間ほどで解除され練習には参加したが、1軍には呼ばれることなく、そのオフに戦力外通告を受けた。「来年の契約は結ばない。10年間ありがとう。ニコ(乙坂の愛称)はチームメートとふざけあったり、楽しそうにしていた。外国人とのコミュニケーションの架け橋にもなってくれて感謝している。ありがとう」。幹部からの言葉に「いい経験をたくさんさせていただいたので、感謝しかありません」と応えるのが精一杯だった。

「実力ですね。10年間のトータルでもそうですし、球団のルールも破ってしまった。仮に残れたとしても、日本一を目指すなかで僕もいづらかったと思う。引退セレモニーの話とか球団職員の話もいただきましたけど、先のことは何も考えていなかったので保留させてもらいました」

 横浜高からドラフト5位で入団し、通算468試合に出場し打率.229、10本塁打、53打点。横浜市出身の生え抜き選手としてファンから愛された乙坂は、27歳で大好きなチームを離れることとなった。

「もっと自分を信じればよかったかなと思います。グラウンドで活躍するのが1番カッコいいですもんね」。悔やんでも悔やみきれない、ベイスターズでのラストイヤーだった。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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