田嶋大樹はエースに「引けを取らない」 投手コーチが求める“脱皮”…寄せた温かい言葉
オリックス・厚澤投手コーチが寄せる、田嶋への期待
期待しかないから温かい言葉を送る。オリックスの厚澤和幸1軍投手コーチが、プロ8年目を迎える田嶋大樹投手に宮城大弥投手、曽谷龍平投手に次ぐ“第3の投手”への脱皮を熱望している。
「実績のある選手には全員、キャリアハイを目指してほしいのですが、田嶋には宮城、曽谷に引けを取らないくらいの期待をしようと思っています」。いつもは慎重に言葉を選ぶ厚澤コーチが、語気を強めた。
2022年からオリックスの投手コーチを務めて4年目。選手の性格を熟知し、選手ファーストの目線を貫いて指導して、無理をさせることなくマウンドに送ってきた。そんな中で、一皮むけてほしいと願う投手の1人が田嶋だ。
佐野日大高(栃木)、JR東日本から2017年ドラフト1位でオリックスに入団。2020年以降、故障した2023年を除き20試合以上に登板し、先発ローテーションを守ってきた。田嶋は、ストイックに野球と向き合い、自分に妥協することなくひたむきに取り組む選手。ただ、勝ち星は2022年の9勝が最多で、昨季は2年連続6勝に終わり、エース級の役割を果たすまであと少しのところでとどまっている。それだけに、厚澤コーチのもどかしさは募る。
「中嶋さん(前監督)も言っている通りなんです。田嶋には素質があるんです。あるんですが、どこかで自分はこれくらいなんだろうと、線を引っ張ってしまっているように思えます。評価は(田嶋が思っているより)もっと高く、すごく良いピッチャーなのに。その差を埋めてあげたいんですよ、僕は」と厚澤コーチは、田嶋への思いを語る。
海外フリーエージェント(FA)権を行使し、広島から移籍した九里亜蓮投手に、故障から復帰の東晃平投手、椋木蓮投手や中継ぎから先発に転向する古田島成龍投手らを加え、先発陣の充実を図っているが、中堅の域に入ってきた田嶋が安定した投球を見せチームを勝ちに導いてくれれば“投手王国”は盤石なものとなる。
田嶋も指導者の期待は承知している。昨季が終わってから「投げ方も含めて全くの白紙」として、良いと思われるものはどんどん取り入れて吸収していく考えを明かした。現在は、両腕から始動する巨人時代の菅野智之(オリオールズ)の投球フォームに挑戦している。「(期待の)裏を返せば、厳しいことにはなりますが、そのくらいの立場でやってほしいんです」。厚澤コーチの思いと選手の意識の変化が結実する日は近い。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)