打率.357で待望デビュー→直後の大怪我で「正座ができない」 大砲候補が見据える“高み”

春季キャンプで練習する西武・村田怜音【写真:湯浅大】
春季キャンプで練習する西武・村田怜音【写真:湯浅大】

ドラフト6位で三重県の皇学館大から入団し2年目の村田怜音

 身長196センチ、体重110キロ、足のサイズは30センチ。“メジャー・サイズ”の体格を誇る西武の2年目、23歳の村田怜音(れおん)内野手が、レギュラー獲りへ向けてリスタートした。昨季はシーズン途中に大怪我を負ったが、初めて参加した宮崎・南郷での1軍キャンプで、持ち味の打撃に磨きをかけている。

 4日間の第1クールを終えた村田。「バッティング練習を多めにしてきて、ちょっと飛ばし過ぎたかもしれません。初めての1軍キャンプで、周りがレギュラークラスの方々なので気を遣いますし、練習量以上に疲れている感じです」と率直に明かしつつ、「飛ばし過ぎくらいでやった方がアピールになる。見てもらわなきゃいけない立場ですから」と気合を入れ直した。

 2023年にドラフト6位指名を受け、三重・伊勢市の皇学館大から初のプロ入りを果たした右の大砲だ。ルーキーイヤーの昨年、イースタン・リーグで18試合に出場して打率.357(56打数20安打)、2本塁打13打点をマークし、5月11日には1軍初昇格を果たした。同日の楽天戦(ベルーナドーム)に「6番・指名打者」でスタメン出場して1軍デビューを飾り、初打席で内星龍投手からレフト前へプロ初安打。同14日の日本ハム戦(エスコンフィールド)では、初のマルチヒットと初打点を記録し、順風満帆な船出だった。

 ところが、好事魔多し。翌15日の同カードで一塁守備中、ファウルフライを追って一塁側のネットに激突。左膝後十字靭帯損傷で全治3か月と診断され、手中にしたかに見えたチャンスはあっという間に消えた。それでも「膝の状態は、正座ができないとか、私生活には多少の支障がありますが、野球をやっている限りは全く問題ないです」と気丈に言い放つ。

同世代からの刺激…ドラ2ルーキーと3人で打撃練習「一緒にやっていこうと」

 このキャンプでは全体練習終了後、ドラフト2位ルーキーの渡部聖弥外野手(大商大)や高卒5年目の長谷川信哉外野手とともに、室内練習場に居残って打撃練習に取り組んでいる。「聖弥も練習量の多いタイプです。もともと昨年の秋季キャンプで、長谷川と僕で居残ってバッティングをやっていて、そこに聖弥が加わった形。キャンプ地に到着した時、3人で一緒にやっていこうと話し合いました」と明かす。渡部聖と長谷川は、村田より1歳下で、ほぼ同年代の存在を身近に感じられるのは何よりも刺激になる。

 本職の一塁では、昨季15本塁打でオリックスから移籍したレアンドロ・セデーニョ内野手、未完の大砲・渡部健人内野手らと定位置を争う。「セデーニョさんも、ベッケンさん(渡部健)も飛距離がすごいけれど、それに勝っていかないといけない。ただ、その2人をライバル視するというより、他人のことを見ていてもしかたがないので、自分ができることをやって、それが評価されるか、されないか、というスタンスでやっていきたいと思います」と語る。

 体のサイズから豪快な印象を受けるが、素顔は生真面目。今どき珍しく頭髪を丸刈りにし、「アルコールは好きなのですが、あまり進んでは飲みません。アルコールを採るメリットを感じない。めちゃめちゃ楽しくなれるならともかく、そうではありませんし、次の日に筋肉が弱っちゃう方を考えてしまいますね」と言うほどだ。大学時代に保健体育の教員免許を取得したそうで、さもありなんというところである。エスコンフィールドで落とした物を、もう1度拾いに行くべく、いまは一心不乱にバットを振る。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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