西武が用意した異例の名刺 ファンからも好評…春季Cに導入した斬新5つの“改革”
ドラフト2位ルーキーはファンから「名刺をください」と声をかけられた
西武が今年の春季キャンプに、5つの斬新なファンサービスを導入している。特にファンの間で好評なのは「名刺」だ。宮崎・南郷キャンプに参加中のA班(1軍)、高知・春野にいるB班(ファーム)を問わず、全選手と監督・コーチがそれぞれ作成しており、サインに応じる時間を取れない時などに配布している。
“プロ野球選手と名刺”という取り合わせが、なんともユニークである。既にSNSを通じて認知しているファンも多いようで、ドラフト2位ルーキーの渡部聖弥外野手は「ファンの方々の前を、『すみません、次の練習があるんです』とサインをお断りしながら通り抜ける時に、『名刺をください!』と言われました。忘れずに持ち歩くようにします」と認知度の高さに目を丸くした。
名刺には氏名、ポジション、「埼玉西武ライオンズ」のチーム名、球団シンボルマーク、今年のシーズンチームスローガンである「ALL ONE」などが刷り込まれている。
昨年91敗から新監督就任、人心一新に合わせてファンのニーズに対応
また、南郷、春野の両球場で、希望する観客全員が練習冒頭のウォーミングアップを、グラウンド上の外野芝生部分に降り、選手の間近で見学できるようになった。赤坂修平球団広報部長は「キャンプ地に足を運んでくださるファンの方々に、どの球団よりも間近で選手を見ていただき、できる限り満足していただきたいと考えています」と力を込める。
A班がキャンプを張る南郷中央公園は高低差の激しい地形で、室内練習場からメーン球場の南郷スタジアムへ移動するファンは、急こう配の階段を上らなければならない。土・日限定ながら、ここにシャトルバスが導入された。ファンの負担軽減に大きな効果がありそうだ。
南郷限定で「デジタルスタンプラリー」も行っている。ファンはまずスタンプラリーサイトにアクセスして参加登録。南郷スタジアムのスタンド入口をはじめ、中央公園内5か所に貼られたQRコードを探し出し、スタンプを集めるシステムだ。5か所のスタンプをコンプリートしてアンケートに答えたファンには、特典として非売品のステッカーが用意されている。
さらに、南郷では土・日限定で子ども向けに、高さ6メートルのドーム型エアートランポリン「ふわふわレオドーム」も登場。ファンの多様なニーズへの対応に努めている。
昨年は球団ワースト記録の91敗を喫して最下位に沈み、西口文也監督の下で人心を一新した西武は、ファンサービスの面でも新機軸を打ち出している。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)