育成5年の下積み→“初快挙”も「実力不足です」 23歳左腕の嘆き「全然通用しない」

オリックス・佐藤一磨【写真:小林靖】
オリックス・佐藤一磨【写真:小林靖】

オリックス・佐藤一磨「一言でいえば実力不足です」

 ステージが変わっても自分を貫く。オリックスの佐藤一磨投手が、育成契約時代の気持ちに立ち戻ってプロ2勝目を目指す。「一言でいえば、実力不足です。1軍だから低めにボールを集めていい投球をするんじゃなく、僕はファームで投げているようにやらないとダメだとわかりました」。いつも通り、謙虚に2024年シーズンを振り返った。

 佐藤は横浜隼人高から2019年育成ドラフト1位でオリックスに入団。身長190センチの角度を生かしたストレート、フォーク、カーブ、チェンジアップを投げ込み、プロ3、4年目にはウエスタン・リーグで19試合に登板。プロ5年目の2024年6月に支配下選手登録を掴み、初登板初先発となった6月9日の巨人戦(東京ドーム)で初勝利を挙げた。

 しかし、その後の4試合(先発2試合)では勝ち星を挙げることはできず、登板5試合で1勝1敗、防御率5.40でシーズンを終えた。佐藤が悔やむのは、2度目の登板となった7月21日の楽天戦(ほっともっと神戸)だ。先頭の小郷裕哉外野手に左前打を許し、1死後、辰己涼介外野手に四球を与えた後、浅村栄斗内野手に適時打。続く鈴木大地内野手に3ランを浴び4失点、2回途中で降板してしまった。

「勝ちを狙いにいった試合でした。でも、僕の悪いところが全部詰め合わさったような試合になってしまいました。『自分じゃない自分』で臨んだ部分があり、それじゃ全然通用しない、全くダメだというのがわかった試合でした。5年間、目指していた支配下になって1軍で登板し、初勝利も挙げましたがレベルが上がった中では、本当に力不足だなと思いました」

 反省を口にすると、汗を拭った。思えば、支配下登録になって初勝利までは順調に行き過ぎた部分があった。「2軍にいた時は『俺ならいける。1軍にいかせてくれ』という感情がものすごくあって、巨人戦では勢いだけでいったようなものでした。1軍のレベルなんて全く分からないまま投げて、打者のみなさんが打ってくださって、たまたま勝ちがついただけでしたから」と、今は冷静に自分を見つめることができる。

「他の人は、1軍ならこう投げるというのがあるかもしれませんが、僕は1軍だろうと2軍だろうと関係なく投げないといけない。1軍だからといって、良い格好をする必要はありません。ストレートの高さの精度と変化球全体のレベルアップを目指します」。初心に戻り、先発ローテーション入りしてチームに貢献する。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY