侍Jで出会った“超一流思考” 過小評価を卒業…紅林弘太郎「自分をスーパースターだと思って」

オリックス・紅林弘太郎【写真:小林靖】
オリックス・紅林弘太郎【写真:小林靖】

オリックス・紅林弘太郎「チームを引っ張る人は『俺が決める』という自信」

 チームを引っ張る自覚と覚悟ができた。オリックス・紅林弘太郎内野手は、昨年11月に出場したプレミア12で、主力打者の自信と実力を目の当たりにして、試合に取り組む姿勢を変えた。「プレミアに行って、チームを引っ張る人は『俺が決める』という自信を持っていらっしゃいました。やっぱり『自分はできるんだ』という自信が必要なんだと痛感しました」。紅林が頷きながら、改めて表情を引き締めた。

 プロ4年目の昨季は、自己最多タイの136試合に出場。「3番・遊撃」でのスタメン出場も、多く経験した。11月にはチームからただ1人、侍JAPANに選ばれて出場したプレミア12で18打数5安打の打率.278、5打点と数字は残した。ただ、1次リーグは4試合、2次リーグでは出場機会が減り、満足のいく結果とは言えなかった。

 ベンチを温めることが多い中で、新たな気づきがあった。主力打者たちの自信にあふれた立ち居振る舞いだった。「一流選手の中に入れていただいて1番思ったのは、試合に入ったら、自分が1番というか『俺はこれだけ頑張ってきたんだから、絶対に結果を残せる』という自信でした」。

 驚きの連続でもあったという。「辰己さん(涼介外野手、楽天)や牧さん(秀悟内野手、DeNA)、小園さん(海斗内野手、広島)もそうなんですが、打席に入る前に発するのが『ここ、俺が決めてくる』というような言葉なんです。凡打で帰ってきても『次は打てるな』みたいなことを言ってるんです。僕なら落ち込んじゃうんですが、すごいなと思いました」。目を開いて一気に語る。

 振り返ると、いつも自信のない自分がいた。「僕は自分を過小評価してしまうんです。自分に何ができるのかと思った時、結局(後続に)つないだり、右打ちとか、バントでもいいかなという思考になってしまうんです。プレミアで気付いたのは、チームを引っ張る人はそういう意識では絶対にやっていないということでした」。

 辰己の言葉を、今もかみしめる。「あとで聞いたら『やっぱり不安はある』と言うんですが、『そういうようにやっていてもしょうがない』と。そして『自分をスーパースターだと思ってやれ。最後は俺が試合を決める。お前が試合を操っているくらいの気持ちでやれ』というアドバイスをいただきました。今季はチームを引っ張るという意識でやります」。自分を信じ、ひたむきにバットを振る。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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